制作・出演 : 三代目
林家三平と並んで歌奴時代に、桂文楽をして「寄席にはああいう化物が出なくてはいけません!」と言わしめた圓歌(昭和45年襲名)の昭和55年に収録された独演会シリーズの4作は、もっとも脂の乗っている頃の録音だ。【壱】の新作落語「浪曲社長」と「月給日」では圓歌の浪花節の名調子と、克服した吃音ぶりがふんだんに披露されている。広沢虎造や相模太郎の節回しを知っていると面白味が増す。【弐】の身投げ屋噺の「白髭橋」と、西行の出家は“あこぎ”という言葉が分からず失恋したからという噺の「西行」、【参】のサゲまで演じている芝居噺「宮戸川」と「品川心中」などの古典演目を、圓歌は勉強し直したという。【四】の「坊主の遊び」と“山のあな、あな”のフレーズと浪花節で一世を風靡した代表作「授業中」など、鮮明な口調でテンポのいい噺となっている。
落語CDの定番「NHK落語名人選」の新ヴァージョン。昔の噺家らしい匂いを残している柳家権太楼。東京落語界における“枝雀”的な存在に近い、といえるかもしれない。
空前の落語ブームの中、コロムビアに保管されてきた名人達の名演を集めた究極の落語入門CD集。名人達の十八番を堪能することができる。
米朝の端正な藝とは好対照と語られがちだが、松鶴は豪快な藝風の裏に神経質なまでの細やかな目配りが感じられ、その片鱗を鶴瓶が受け継ぐ。文楽『寝床』は旦那の豹変ぶりなど人物描写の妙はさすが。可楽の渋い藝風は、これぞ江戸の粋。陰惨な内容の噺を「冷やでもいいから、もう一杯」でサゲるところに人間の業を語る落語の神髄が。春団治は昭和初期の音源だが、テンポのよさとアクの強いくすぐりに上方の笑いの源泉を感じる。歌笑は混沌とした終戦直後の奇妙な明るさを体現した藝で、あの時代の空気を伝える。
戦前戦後の日本に笑いを運んだ伝説の落語家のSP盤を復元。天衣無縫な行動でも知られる初代桂春団治、テレビ番組『ジェスチャー』でも活躍した金語楼など、今は亡き昭和の名人の話芸が堪能できる1作。
落語は人間の業を描くものというが、新作でそれをやってのけたのだから凄い。寄席やテレビでは時間の制約からショート・ヴァージョンだが、本作は65分超の掛け値なしの完全版。古き良き東京弁の歯切れの良さ、間の見事さ、これが本物の東京落語です。★
発売元
日本コロムビア株式会社一流アーティストの演奏音源による日本の伝統音楽シリーズ。尺八、笛、箏、三味線、長唄、義太夫、能楽の7タイトルが発売される。それぞれの名手による色あせない演奏が納められている。
「薮入り」の亀坊、「居酒屋」の“できますものは”小僧、「茶の湯」のトボケた小僧の定吉、とこまっしゃくれたガキを演じさせたら天下一品。朗々たる語り口は健全なイメージにあふれ、ラジオを通じて、茶の間にスンナリと受け入れられたのであった。
流行をすぐに取り入れるかと思うと、意外なことろで古きものにこだわったり、いかにも明治の人らしい。ドスの利いた言い回しから一転、ホロリとさせる調子の巧さは金馬ならではの味。「夢金」の江戸情緒あふれる描写は、江戸好きにはこたえられない。
もちろん先代の金馬であり、どれも完成された噺なので何度もこれまでくりかえし楽しんできた録音。ゴリゴリの人情も交流するとフニャっとなるのがやたらとおもしろい。「ヤカン」の御隠居型の人に出会うとホッとするのは、落語からの恩だと確信している。