制作・出演 : 大萩康司
ベスト盤の体裁ながら、新録4曲(「12月の太陽」「フェリシタシオン!」「始まりの日」「つづれ織りの記憶」)、再録4曲(「想いの届く日」「エストレジータ」「11月のある日」「翼」)と充実した内容。新録として日本人作曲家の作品を3曲採り上げているのが印象的。ゆったりと静謐な響きに満ちた「フェリシタシオン!」など特にいい。外国人が“間”と言いそうな空間を作る技は、すでに円熟の域にあると思う。★
18歳のバンドネオン奏者、三浦一馬のデビュー・アルバム。豊かな想像力とそれに応えるテクニックで、微妙な色合いを醸し出す。聴きものはピアソラがギター2本の演奏用に作曲した「タンゴ組曲」。大萩康司(g)とのデュオ演奏という難関に挑む。
大萩は南の音楽の空気感を鮮やかに捕まえる。アルゼンチンの作品を集めたこのCDも、表情に応じて硬い響きとくぐもった響きを使い分け、要所で絶妙のタメを仕掛けて濃密な情動をジワと直裁にカラダの中に作り出す。先鋭多彩に情景を映すヒナステラが見事。★
林美智子の2枚目のCDは、武満徹の歌曲全21曲を収録したもの。歌詞が明晰かつ自然に聴こえ、しかもメロディに無理なく乗っているので、詩の朗読を味わうような感覚で楽しめる。野平夫妻の機知に富んだ多彩なアレンジが、作品に新たな光を当てていて秀逸だ。
日本を代表するギタリストの1人、大萩康司の洒落た選曲の小品集。ジャンルを超えた各国の名曲を綴っており、彼の高度なテクニックと音楽性とが各曲の魅力を最大限に引き出している。心に沁みわたる演奏だ。
ブラジルのギター音楽に題材を統一した大萩の通算8作目となる作品。情緒ある表現力を武器にロボスからジョビンまでフレーズがよく歌っている奥行きあるプレイを聴かせる。ベルギー人ギタリストのボリス・ガケールとの二重奏も数曲で聴くことができる。
大萩康司、藤井香織、神田めぐみ、鍵冨弦太郎、村治奏一、松本和将という世界で活躍する若き日本人ミュージシャン6人を集めて実現した奇跡のコンサートの記録。クラシック、タンゴ、ボサ・ノヴァなどレパートリーはジャンルを超える。ラストの(11)はやはり圧巻。
2005年のミュンヘン国際コンクールで優勝した、北京生まれの期待の若き女性チェリスト、チョウ・チンと、ギター界の新星大萩康司とがデュオを組んだ、話題のアルバム。高い音楽性とテクニックが一体となった1枚。
最初の一音からしっとりと湿度を孕んで光と陰を明滅させる濃密な時間に引き込まれる。タメがココロにしみわたり、ノリがぴたり情動をたきつける。所は本場ハバナ。その耳の肥えた聴衆を、ブラヴォ、ぐいと乗せきってしまう大萩。冴えてしみじみ絶品ライヴ。★