制作・出演 : 宮沢明子
リサイタルのために組まれたプログラムだったのだろうか。ともあれ、伸びの良い響きと明快なタッチで、自信にあふれた演奏をくり広げている。全編聴き終えたあとは、「プロコフィエフ」のインパクトが強いせいか、他の曲の性格の描き分けは印象が薄い。
もう20年も前の録音で、録音場所が青山タワーホールというのも懐かしい。内容はとても素晴らしく、本当にピアノを学ぶ子供達のために弾いているのだなあと思う。教育目的でありながら無味乾燥にならず、愛情に満ちているのだ。CD化を喜びたい。
最近脚光をあびている無言歌集。ここに収められているのは6曲ばかりだがそれ以外の(5)やシューベルト((1)〜(4))の柔らかさに注目したい。技術的には粗いところもあるが、たっぷりと感情移入しつつ自分の世界を描きだしている。1974年の録音。
明快に歯切れ良く演奏された気持ちのよいバッハ。宮沢明子の持つロマンティシズムがたっぷり注がれながらもそれに流されることなくメリハリをきかせ節度を保っている。非常にダイナミックな彼女らしいバッハだ。これがたった1000円というのはびっくり。
個性派として知られるピアニスト、宮沢明子の名演集から、モーツァルトのピアノ・ソナタ全集第1巻。1774年、18歳のモーツァルトがザルツブルグで書いた一連のソナタから第1番灰愛4番が収められている。粒立ちの明瞭な音の瑞々しさが心に残る。
73年の録音で、宮沢明子らしいエネルギッシュでメリハリのきいた演奏だ。勢いがある。高度成長まっしぐらの日本を思い出すような。時代とともに音も、演奏スタイルも変わっていく。もちろん、日本人初のモーツァルト・ピアノ・ソナタ全集の価値は不変。
全集盤として出ていたLPセットの、分売・CD化であり、1枚1000円の廉価盤。根強い人気をもっているピアニスト、宮沢明子は、優しく語りかけるように、あるいは力強い主張をぶつけるように、多彩な表情をみせながら、心のこもった演奏に努めている。