制作・出演 : 朝比奈隆
ベートーヴェン:交響曲第1、4番ベートーヴェン:交響曲第1、4番
この新盤は音質がずいぶんと生々しくなり、それは評価にも大きく影響する。この2曲はブルックナーの交響曲のような巨大な解釈で、特に第1の方は通常の演奏は大きく異なったものだ。朝比奈が長い時間をかけて到達した世界だけに、その味わいは格別だ。★
ベートーヴェン:交響曲第2、5番ベートーヴェン:交響曲第2、5番
85年のライヴ録音だが、12年前にして朝比奈は既にここまでスケールの大きな音楽を創っていたのだと改めて感服した。音楽は常に悠々と流れ、すべての音符は暖かく息づいている。今、「運命」の2楽章をこれほど豊かに響かせる指揮者は恐らく皆無だろう。
ベートーヴェン:交響曲第7番第8番ベートーヴェン:交響曲第7番第8番
最初に出たCDは、もっと柔らかい音だったと思うが、この新盤ではずいぶんと生々しくなった。第7は例によって繰り返しをすべて敢行し、巨大な構成の中に素朴な情熱が渦巻く演奏。技巧的な第8は朝比奈流の解釈と多少相性は悪いが、それでも平均以上だ。
バースデイ・コンサート'96/朝比奈隆バースデイ・コンサート'96/朝比奈隆
96年7月14日に行われた朝比奈隆88歳のバースデイ・コンサート。彼には珍しく「モルダウ」や「青きドナウ」などポピュラーな曲が並ぶ。相変わらず悠々たる演奏。しかし注目はチャイコの5番。逞しく強靭な意志力を感じさせる指揮。これは聴きものだ。
ブルックナー:交響曲選集ブルックナー:交響曲選集
東響創立50周年記念の選集。何種類もある録音中、第8番をのぞき最新録音という点に注目。93〜96年の収録。とくに第9番はまさに朝比奈芸術の集大成のような名演だ。大フィルや新日フィルとの録音もあるが東響との演奏には独特の覇気があり、ファンの間でも評価は高く、その誠実で重厚な演奏はかけがえのないものといえる。