制作・出演 : 村治佳織
“ギターで聴きたい名曲たち”をコンセプトにした『ポートレイツ』シリーズの第2弾。今回もポップスからクラシックのオリジナルまで、さまざまなテクニックも鮮やかに、ギターの魅力が満喫できる。
クラシックに留まらず、ポップに接するレパートリーを積極的に取り入れ、ギターの幅広い楽しみの可能性と、現代に生きる音楽家としてのアイデンティティを爽やかに印象づける村治の“肖像”。坂本はじめココロ惹く小品のツボを、さらり凛々しく捕まえて出色。
前半はフンケ&ゲヴァントハウス・バッハ・オケとの共演。村治とオケとの親密なコミュニケートが聴ける。後半はソロ。じっくりと丁寧に「シャコンヌ」などを弾く。彼女自身の編曲による「メヌエット」を含め、“村治佳織のバッハ”が楽しめる。
世界で活躍する日本人ギタリストのベスト・プレイを集めたコンピレーション・アルバム。各演奏者の高度なテクニックや豊かな表現力など、比較ができると同時に、古今東西のギターの名曲も楽しめる。
世界有数の混声合唱団と、村治佳織による、絡み合うようで個別、対立するようで融和している不思議な音風景。ギターだけ、合唱だけのトラックもある“対等さ”は、どちらかのファンという立場に立たないほうが楽しめそう。ボブ・チルコットによるアレンジ曲はイギリス風でユニーク。
デッカ移籍後の2枚目のアルバム。初めてのフランス作品集だが、彼女はフランスとも縁が深く、今までなかったのが不思議なくらい。指のコントロールが抜群で、多彩な音色、ニュアンスを作り出し、繊細さや淡い色合い、微妙なリズムの移ろいなど、まことに美しい。★
愛するロドリーゴの曲を中心にオール・スペインでまとめられたベスト盤。スペインという牙城に飛び込んで、日本人である自分を確認している。しっとりとした情感が音の隙間からにじみ出す……それこそが自信。彼女にとってもマイルストーンとなった録音だろう。
ギター・ファンにはたまらないアルバムでしょう。日本を代表するというか、世界的なギタリストが、ずらっと並んでいる。各人各様の技を楽しむという聴き方から、ギターの名曲をゆったり楽しむという聴き方など、勉強にもなるしヒーリングCDにもなるのだ。
村治佳織のデッカ・レーベルのデビュー・アルバム。メイン・プログラムに武満徹の作品を持ってきたのは、彼女の意欲の表れに違いない。聴き慣れたビートルズの曲から繊細でみずみずしい音楽が流れてくる。彼女にとってもマイルストーンとなる作品だろう。
イキのいいギターである。何より音がいい。一音一音がクッキリと響いて、しかもしっかり色が出る。音の周りにヴィヴィッドな生気が満ちる。利いた風なシナを作らない。耳や情の動きがストレートに音に現れる。その単刀直入さが実に清々しい。初夏の眩さ。★