制作・出演 : 東京混声合唱団
人生の盛りという年齢で世を去った小山薫。自己の内なる想いやイマジネーションを突き詰めて追い込んで響きに映し換え音楽のかたちに結晶させるその音楽は、“情念”という懐かしい言葉を強く思い起こさせるが、澄明な響きの美しさが、聴く耳を重くさせない。
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株式会社フォンテック記念演奏会シリーズ3作目のリリースは、一般の合唱団が採り上げてゆきそうな作品を集めたアルバム。特に「混声合唱とピアノのための組曲 夢の意味」は十分にわかりやすく、多くの歌い手のツボを刺激しそうな美しい展開を持つ佳曲だ。合唱の世界もまた、時代が一巡して平易志向になっていくのだろうと思わされる。
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日本伝統文化振興財団岩城宏之の最後のステージとなったコンサートで、彼の指揮によって歌われた4曲と、40年ほど前にLPで発売された4枚のアルバムをまとめた、歌によるメモリアル盤。懐かしい合唱曲の数々に、林光による反戦歌集が挟まる違和感が、そのまま“最後の演奏”の緊張感にリンクする。少人数の男声による「戦友」が、いわく言い難い哀しさを呼び起こして終わるさまは、なんとも胸苦しい感動を呼ぶ。
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キングレコード株式会社管弦楽曲は岩城28歳での録音で、(1)(5)はN響の正式名での初録音。ライナーの長田暁二氏の文章は当時の奮闘ぶりを詳細に記し、我が国のクラシック音楽録音史において、岩城がいかに大きな足跡を残したかを再認識させる。若々しい情熱にあふれた貴重な記録。★
創立50周年を迎えたプロ合唱団の、記念演奏会からのライヴ録音。鋭敏な感性と技量を備えたメンバーならではのアンサンブルが、やさしい表情の音楽で遺憾なく発揮されている。選曲も含め文句なく楽しい上質の合唱アルバムだ。愛唱曲の編曲&ピアノも素晴らしい。
ついにCDで登場した、という他はない、日本合唱史における貴重な音源。東京混声合唱団は、日本初のプロ合唱団であるだけでなく、日本の合唱活動をコンテンポラリーな地平に誘う原動力となった集団だ。このアンソロジーは、彼らの20周年記念企画(76年)として編まれたもので、驚くばかりの求心的な内容となっている。編集は、LP初出時の内容をそのまま収録することに徹したもので、ブックレットにある、現代合唱曲の旗手であった邦人作曲家たちへの合唱団からのアンケートなど、いまや非常に興味深いものとなった。