制作・出演 : 松浦亜弥
全曲新録の企画盤。「渡良瀬橋」は本家の森高千里を迎え、より深い郷愁を漂わせる。元ちとせ「語り継ぐこと」や竹内まりや「みんなひとり」のカヴァーを聴き、彼女は今アイドルと大人のシンガーの狭間にあり、歌手としては人の成長で言うところの思春期にあたる頃だと思った。そのあたりの揺れも現状の個性として、本作品に深く刻まれている気がする。
松浦亜弥の21枚目のシングルは、恋愛が盛り上がる瞬間を描いたポップ・チューン。やはり彼女のヴォーカルには、軽やかでキュートなサウンドがよく似合う。失恋の経験を前向きに捕らえようとする女の子を描いたカップリング曲「ガツン」も彼女のイメージにぴったり。
1年3ヵ月ぶりのアルバムは、KANが作詞・作曲した珠玉のポップ・ソングの「想いあふれて」をはじめ、大人の魅力を存分に発揮した。1950?60年代の巴里の雰囲気を持ったジャケット写真にも表われているように、アイドルから脱皮したアーティストとしての“あやや”の姿勢を表明した一枚。
これまでの松浦亜弥のイメージを下ろして聴いてほしい作品。大人が持つ子供っぽさを時に愛らしく、時に刹那的に歌い上げるヴォーカルに、成熟過程の輝きがしっかりと宿っていることがわかる。タイトルどおりアイドルとヴォーカリスト、二つの輝く顔を見せてくれる7作目。
通算19枚目のシングル。谷村有美が作詞・作曲を担当した「笑顔」は、つらい時でも、生きることが“笑顔”へと続く解決策だと歌う、現代人への応援歌。説得力を帯びた高音部の繊細なヴォーカルが胸を打つ。「あなたに出逢えて」は、人との出会いで人生観が変わる、その喜びを伸びやかに歌い上げる。
デビュー・シングルやファースト・アルバム収録曲のセルフ・カヴァー、ノラ・ジョーンズの楽曲のカヴァーに新曲も加え、彼女のヴォーカリストとしての魅力を堪能できる一枚。スタジオでバンドと一発録りに近い形でレコーディングし、臨場感が生きている。
ファン投票にのっとって選曲されたというベスト盤。芸風のひとつである(表現の)大人っぽさが生来のものであることが、出世作(3)を聴くとあらためてわかる。美空ひばりのカヴァー(15)がつんく♂による新ミックス、(16)が新録された別ヴァージョンなのがミソ。
2月に上演したあやや主演のミュージカルのサントラ。この作品は故美空ひばりが生前に書き残した1編の詞を元に作られた。昭和27年、横浜の洋食屋を舞台に繰り広げられる青春物語にブギウギや歌謡曲がフィット。音楽監修のつんく♂の策略とあややの歌唱を存分に楽しめる。