ジャンル : 演歌・純邦楽・落語 > 落語・演芸
昭和40〜43年(29〜32歳当時)の『談志ひとり会』を収録した10枚組。若い衆の向こう意気の強い気っ風のいい啖呵に、才気ばしった色気がある。「源平盛衰記」の歯切れのいい口調と脱線のテンポに談志の芸の本領を見た気分。「野晒し」「へっつい幽霊」「らくだ」などでの豹変シーンでは、談志の才気が落語的狂気へと反転する。講釈「三方ヶ原軍記」、芸人その世界の「現代落語論」も聴きもの。
93年、大阪サンケイホールでの「青菜」(米朝一門会)、95年の「首提灯」(独演会)を収録。ともに酒飲みの噺。「上燗屋」を前半に置いた「首提灯」では仕込み杖で泥棒の首を切ってしまうまでが乱暴な展開だが、ざこばの迫力と強引な語り口が押し切る。
「死神」は円生が演じたものが強烈で、そのイメージからなかなか抜け出せないでいたが、小三治はそれを見事に一新して独自の小三治ヴァージョンのサゲを作り上げた。死神の雰囲気、主人公の心理描写などなかなか見事に演じ切っている。独演会での録音。
88年10月の鈴本演芸場での独演会を収録。いきとどいた情景描写の泣かせる人情噺だ。芝の浜での“海の風は暖けぇからな〜”に実感がこもる。3年目の大晦日に障子、畳表を張り替えた家での女房の告白シーンをカッチリと語り描いていく小三治の定番。
『寄席芸人伝』などのコミックはさておき、ライヴはむっちゃ昔に一度きり、まるでO.ヘンリーの小説みたいな人情噺じっくり聴けるかな……の杞憂を吹き飛ばしたCD。落語への造詣深く、円生はじめ名演を録り続ける京須ディレクターの、恋文のような解説が◎。
志ん生の十八番「火焔太鼓」(1)は58年NHKラジオでの録音。この噺、滑稽であるばかりでなく、女房にガミガミ言われている亭主の姿が我が身のごとく思える瞬間がある。座りしょんべんするな! がいい。53年TBSラジオでの録音の「風呂敷」は長屋の艶笑噺。
駄々っ子と無邪気な父親を描いた『初天神』は小三治さんの得意ネタのひとつ。男はいつまでたってもやんちゃであることをしっかり描く。有名噺だからこそ力量が問われる『時そば』も、うーむと唸ってしまうほどの絶品で、笑いの間が心をあたたかくする。