ジャンル : 演歌・純邦楽・落語 > 落語・演芸
やっさんの没後、映像を含め多様な音源が世に出てきたが、中でも当CD収録の「コンビ誕生秘話」(1)は屈指の名演。ヴァージョン違いは数々あれど、この昭和55年4月のライヴはとにかくすごい。2人の応酬で笑いが加速度的に増幅する。必聴の大推薦盤。★
まだ2人とも30代の、漫才師としては絶頂期の頃の模様を収録した本作。やっさんの甲高い声で叫ぶつっこみ漫才と、やっさんのノホホンとしたボケ漫才ぶり。そして当時のネタ自体も、今聞いても十分に楽しめる。やすきよ漫才の質の高さを改めて堪能!
花王名人劇場音源のやすきよ4本立。漫才ブームの若手に刺激されしゃべりのテンポが再加速していた時期のものだけに、紳竜に負けじとばかりのスピード感が強い。結局は漫才としての最後のピークになったのだけど。やっぱりビデオで動きも観たくなる。
“べかちゃん”が三代目南光を襲名して、はや2年半が経つ(そういえば彼はいまだに岡部まりさんへ花束を贈り続けているのだろうか!?)。裏にある緻密な計算を感じさせず大胆に話を展開する芸風はもはや大家の域。難しい2つのネタを危なげなく演じている。
小三治の啖呵はときどきこわい。こわいけれどもどこか頼もしいから絶品なのだ。与太郎のふにゃふにゃでもときどき気がきいている風情は小三治ならでは。泥棒ものの「転宅」は少々めずらしい。さすがの年季女にやられる男心はほほえましいイイ噺。
88年8月の独演会で収録された「宗論」と「出来心」。カルチャー・ギャップをテーマにした前者にしても、泥棒を主人公にした後者にしても、大ネタとは言えない軽量級のポップな噺だが、それを超ヘヴィー級の本格派が本気で演じているところが聴きどころ。
まくらからさげまで、たっぷり小三治の思想が詰まりまくった“大らくだ”。アフリカ話をふるのも、それでOKなのも小三治のわかりやすく骨のある語りを誰もが知っているからだが、このらくだはまさしく凄い。凄すぎて落語史におったってしまうほど。
時間的な制約の少ない独演会での収録。重い話をべたつくことなくスマートに聞かせ、だからこそ胸の奥に響く小三治の芸風が堪能できる。奉公元からの休暇帰りの息子を描く「薮入り」では、語り口が渇いている分だけ、親子の情がとことんせつない。思わず泣いた。
88年録音の「百川」と90年録音の「厄払い」を収録した柳家小三治師匠のCD。「百川」の百兵衛にしても、「厄払い」の与太郎にしても、独自のヒューマニズムに裏打ちされた弱者への共感が生きている。これほど気持ちよく笑わせてくれる噺家はほかにいない。