ジャンル : 演歌・純邦楽・落語 > 落語・演芸
またの題名を『磯の白浪』『朧の梅若』という長編人情噺。78年11月の録音で、同年12月発売のLPの復刻。部分を取り出すことのできないガッチリとした展開の長編ゆえにもはや生で聴くこともままならぬ。圓生師のテンションの保ち方はまさに至芸。
79年の録音で、芝居仕立ての人情噺になっている。悪餓鬼の長吉が奉公に出され、主人の金を盗み丁稚の定吉と番頭の権九郎を殺し…、継母のお光と再会する噺だ。浄瑠璃の「双蝶々曲輪日記」の登場人物名をそっくり借用しているが、噺の内容は別物。
(1)はけっこう有名な噺だが、ふたつの長いマクラが珍しい。高座でなかなかこんなにたっぷりとは聴けない。(2)も江戸の芝居を丁寧に解説した上で始まるから、特別な知識がなくても楽しめる。今回の噺では「質屋庫」が圓生らしい人物描写の妙を堪能できる。
品川の女郎お染に心中をもちかけられたが、土壇場で裏切られ自分だけ死にそうな目にあった金蔵が幽霊と偽って仕返しを図る「品川心中」を、“下”まで含めて収録。もう一編は外国の話に題材を取ったという「死神」。
75〜76年のスタジオ録音。女房に先立たれて悲しんでいる捻兵衛を人魂で騙す「樟脳玉」では、いくつも呉服の名が出てきて着物の知識の程が問われてしまう。「洒落小町」は女房の悋気を題材にした噺だが、ここまで女房にヤキモキしてもらえるとはね。
来春までリリースされる『園生百席』シリーズのVOL.16は廓嘲、「五人廻し」とシリーズ監修者、宇野信夫作の芝居のリメイク、「小判一両」を収めた2枚組。うまいねえ、どうも。背筋の伸びた話しっぷりがイカス。ラストについた芸談も味わい深い。
普段はまず通して聴くことはない咄だが、六代目乾坤一擲の大一番はさすがに聴き応え十分。これだけの長丁場もダレることなく下げまで一気に持っていく。登場人物のキャラクターがくっきりと浮き出ていて、それだけでもこの人の芸を堪能させてくれる。
六代目・三遊亭圓生の独演の模様をダイレクトに収録。本作には「小間物屋政談」「盃の殿様」と2つの落語を収録。弁舌な圓生の語りを聞いていると、不思議と話の情景や彼の講談する姿が頭に浮かんでくる。饒舌な語りの名演を堪能出来る優れた1枚です。
奉行といえば大岡越前の独り占めだが、子供の奉行所ゴッコをきっかけとする佐々木信濃ものの「佐々木政談」(75年録音)。金馬が得意とした「池田大助」の元の噺でもある。「三軒長屋」(76年録音)は演者ばかりか聴き手の“教養”が問われる噺である。
落語界の最高峰・圓生の古典落語集第20弾。有名な「三年目」を目当てに購入する人も多いだろう。スタジオ録音によるクオリティの高さと、聴く者をのめり込ませる圓生の見事な話術はまさに完全保存盤。本人による芸の解説やくわしいブックレットも秀逸。
恒例の“だびよん劇場”でのライヴを収録。伊奈かっぺいの津軽弁による話芸は逸品である。爆笑が続く標準語の中にワン・フレーズだけ津軽弁を入れるコーナーは圧巻。津軽人が津軽弁で他の東北地域の方言や言葉を笑う辺りは二重三重の諧謔を楽しむ。
津軽弁で語りまくり、歌いまくる異色のローカルシンガー、伊奈かっぺい氏の86年のライヴ。津軽三味線やら三上寛のカヴァー、(16)(17)やら、「母に捧げるバラード」の津軽弁ヴァージョン、(10)やら盛りだくさん。(13)では放送局批判など過激な発言も飛び出す。
全国的にはNHK『生活笑百科』の南光相談員として有名なべかこ改め南光の、今年初めの録音。(1)は師匠である枝雀の代打として高座に上がった公演を収録した、入魂の一席。TVでは味わえないきめ細やかな話芸が堪能でき、正直、この人見直しました。
この頃ノリにノっていた南光によるライヴ。枝雀の芸は映像がないと今イチ笑えないが、南光の人物描写は音声だけでも爆笑モノである。上方のヤンチャ坊主もいつの間にか貫禄が身についてきた。枕を含め「ちりとてちん」の完成度は文句なし。
枝雀門下の中堅噺家のライヴ録音集第1弾。上方落語選とタイトルにあるが、(1)は江戸落語を上方風にアレンジしたもで、挟み込まれる歌舞伎風な節回しがなかなかのいい声。また(3)も長らく演じられることのなかった芝居噺で、研究熱心な彼の姿勢が窺える。