シューマン:ピアノと管弦楽のための作品全集
当セットはシューマン自身のみならず、彼が補筆・編曲で協力したクララやヘンゼルトの作品も収めた好企画。世界初録音もいくつか含む。ヴィノクールは制作に当たり、既出の出版譜の検討から、さらには自ら補筆完成まで携わった。たとえば有名なピアノ協奏曲のもととなった「幻想曲」は、自筆譜から校訂。それゆえ、流通しているEulenburg社のスコアとは異なる箇所が多々ある。演奏はどれもシューマンの語法とムードの双方を大切にしていて好感度大。パターン楽句が多用されつつも、シューマンらしい香気がむせ返るニ短調の協奏曲断章など、ファンにはたまらない。★