音楽むすび | From Dream And You

From Dream And You

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型にはまらず、定まらず、ただ負の感情が変幻自在に形を変える。

前島麻由の楽曲は英詞。
洋楽好きな両親の影響で幼少期から洋楽ばかり聴いていた。
英語の響き、メロディによる耳からの直感的な感動を大切にしてきた。
前島麻由にとって「歌詞」は時に邪魔になる。
歌詞内の様々な情報、歌詞に自身を投影し共感することよりも、耳からメロディを感じること、聴き心地の良さ、それが重要なのである。
そこに「英詞」にこだわる理由がある。それは決して雰囲気ではない。

前島麻由の音楽は複雑な処方で成り立っている。
たとえば「言葉にすることで救われる」とか、あるいは「歌うことで消化できる」とか、
彼女が悲しみや怒りといった負の感情をもとに歌詞を書いていても、歌っていても、前島麻由は救われもしなければ、消化もしないし、ましてやそれを望んでもいない。
それどころか、 歌えば過去の悲しみが全部よみがえって、現在の彼女をまるごと絡めとってしまうのだ。
負の感情はもはや彼女の人生の一部。
型にはまらず、定まらず、ただ負の感情が変幻自在に形を変える。
それは誰も開けたことのない、感情のるつぼのような音楽だ。
どう転んでいくのか、まったく読めない前島麻由の未来に、興味は尽きない。

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