ザ・アート・オブ・ダイイング
エクソダスも復活し、またまた熱いスラッシュ・メタル復権の動きの中、ついにデス・エンジェルも14年ぶりの作品を発表。好きな人にはたまらない、14年たっても変わらないベイ・エリア・クランチが聴ける。
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ベイ・エリア・スラッシャーの4年ぶりとなる復活第2弾アルバム。80年代のスラッシュ・メタルの流れを汲みながらも、重厚なギター・サウンドを巧く取り込むことで、現代風のスラッシュ・メタルを確立。疾走感あふれる楽曲はどれも心地好いの一言。 2008/05/09 発売
1982年、サンフランシスコで結成されたデス・エンジェルは、フィリピン系の十代の少年たちによる スラッシュ・メタル・バンドということで注目され、当時既にブレイクしていたメタリカのカーク・ハメットのプロデュースした デモでレコード契約を獲得。1987年『 The Ultra-Violence』でデビューを果たす。翌1988年『Frolic Through the Park』は ベイエリア・スラッシュ・ムーヴメントの一端を担い、収録曲「ボアード」はMTVヒットとなり一躍トップシーンへと登りつめるが、 1990年に起こったツアー中の事故を発端にバンドは混迷期を迎え、一時活動停止にも陥ることとなる。以降はメンバーによる別名義での活動、 そして再結成へと至るが、2004年に14年ぶりとなるアルバム『The Art of Dying』発表後、『THRASH DOMINATION 04』で来日し、 日本のファンにも健在振りを見せている。 2014年12月に地元サンフランシスコのクラブ『スリムズ』でのステージを収めた本作は、2013年にリリースされた 『ザ・ドリーム・コールズ・フォー・ブラッド』の全10曲中、7曲をライヴで再現。オーディエンスとの熱気とエネルギーの ぶつかり合いを得て、さらにパワフルなヴァージョンへと変貌を遂げている。 さらに再結成後のアルバム『キリング・シーズン』(2008)と『リレントレス・レトリビューション』(2010)からの「トゥルース」、 そして初期の代表曲「ボアード」を加えた強力なステージは、ベイ・エリアから巣立っていった彼らが30年の月日を経て凱旋を果たし、 さらに激化したスラッシュ・メタルを轟かせるライヴ・ドキュメントである。 <収録内容> 01.レフト・フォー・デッド 02.フォールン 03.ベリード・アライヴ 04.ザ・ドリーム・コールズ・フォー・ブラッド 05.エクセキューション/ドント・セイヴ・ミー 06.トゥルース 07.ディトネイト 08.ボアード 09.キャスター・オブ・シェイム 10.テリトリアル・インスティンクト/ブラッドラスト 【メンバー】 マーク・オセグエダ(ヴォーカル) ロブ・キャヴェスタニィ(ギター) テッド・アギュラー(ギター) ウィル・キャロル(ドラムス) デミアン・シッソン(ベース) 2015/07/29 発売
「ベイエリア・スラッシュ」を代表するサンフランシスコのベテラン・スラッシャー、デス・エンジェルが通算9枚目スタジオ・アルバムを リリース!初期衝動と整合性が同居、自己のアイデンティティを完璧に封じ込めた会心作が誕生! チルドレン・オブ・ボドムのアレキシ・ライホがギター・ソロでゲスト参加! ベテラン・ベイエリア・スラッシャー、デス・エンジェル。その結成は82年にまでさかのぼる。 メタリカがサンフランシスコに引っ越してくるのが83年のことだ。つまりデス・エンジェルは、 その創成期からスラッシュ・シーン最前線にいたのである。80年代当時の彼らは、メンバー全員が血縁関係にあること、 そしてとても若いことが話題になっていた。何しろ当時のドラマー、アンディ・ガレオンは72年生まれ。 つまりバンド結成時わずか10歳。ファースト・アルバム、『The Ultra-Violence』(87年リリース)製作時でも、まだ14歳。 すなわち中学生だったということだから、驚きである。 「デス・エンジェル」=「死の天使」というバンド名、そして「Ultra-Violence」=「過剰な暴力」という残虐なイメージとは異なり、 彼らの音楽性は、メタリカを規範としたベイエリアのバンドのそれそのもの。複雑な曲構成、そしてサタンに頼らぬ歌詞を得意とした彼らは、 言うなれば「インテリジェント」なバンドであった。実際、85年のデモ『Kill as One』のプロデュースは、カーク・ハメットの手によるもの。 このデモにも収録されていたデビュー・アルバムのタイトル・トラックは、そんな彼らのアイデンティティを最もよく体現していた曲だ。 というのもこれ、10分超というスラッシュ界では異例の大作というだけでなく、インストゥルメンタルでもあったのだから、 その先進性は相当のもの。さらにこれを、14歳のドラマーが叩いていたわけだから、その早熟ぶり、衝撃がよくわかるだろう。 当然『The Ultra-Violence』は、大きな話題となった。 80年代後半は、デス・エンジェルに加え、テスタメント、フォビドゥン、ヒーゼンといったベイエリアのスラッシュ・メタルが、 世界的に大きな注目を浴びた時期である。だが同時に、スラッシュ・メタル・バンドにとっては、難しい時代を迎えつつあったのも事実。 メタリカの商業的大成功と、アンダーグラウンドにおけるグラインドコアやデス・メタルの台頭。この挟み撃ちを受けたスラッシュ・メタルは、 何らかの方向転換を迫られ始めた。少なくともスラッシュ・バンドたちは、そういう強迫観念に駆られた。 スラッシュ・メタル・バンドが、そのままスラッシュをプレイし続けるという選択肢は無かったも同然なのだ。 『Frolic Through the Park』(88年)、『Act III』(90年)とアルバム・リリースを重ねていったデス・エンジェルも、方向転換を余儀なくされた。 彼らはファンク的な要素やアコースティック・ギターなどを大胆に導入し、スラッシュ・メタルの持つ暴虐性から離れていくという選択をした。 さらに90年には、ツアーバスの事故という不運に見舞われる。結局91年にはヴォーカリストのマーク・オゼグエダが、日本公演を最後に脱退を表明。 残されたメンバーはThe Organizationと名前を変え、時代に即したオルタナティヴ・ロック的アプローチで活動を継続するが、95年に解散してしまう。 デス・エンジェル名義としては10年ぶりとなる復活劇を遂げたのが01年のこと。 癌を患っていたテスタメントのチャック・ビリーのチャリティ・コンサート出演のため、彼らは再結成を果たしたのだ。 もともとは一夜限りのはずだった。だが、みんなで集まってみれば、楽しかったあの頃の思い出が蘇ってくる。 ならば、このまま活動を続けてしまえばいいではないか。再結成デス・エンジェルの初のアルバム、『The Art of Dying』がリリースされたのが、04年のこと。 その後『Killing Season』(08年)、『Relentless Retribution』(10年)、『The Dream Calls for Blood』(13年)、『The Evil Divide』(16年)と コンスタントにアルバムを発表していった彼ら。特に『Killing Season』以降の作品は、メタル純度の高いスタイルとなっており、スラッシュ・メタル創成期から シーンに関わっていたバンドとしてのアイデンティティ、プライドにあふれた、まさに吹っ切れた作品になっている。 今回リリースになる3年ぶり、9枚目のアルバムとなる『ヒューマニサイド』も素晴らしい仕上がりだ。 まさにインテリジェントなスラッシュ・メタル・バンドの面目躍如。スラッシュの信念を頑なに守りつつも、パンクやロックンロール的なアプローチをちらつかせ、 さらにはお得意のアコースティック・ギター、果てはピアノまでをも用いたプログレッシヴな味付けも見せる。 「世の中がおかしなことになっていることは明らかだ」というロブ・ キャヴェスタニィの主張は、『ヒューマニサイド』(=核戦争や環境破壊に起因する人類絶滅) というタイトルにもよく表れている。狼がうろついているアルバム・ジャケットも、人類滅亡後の荒廃した世界を描いたものだ。 だが、そのメッセージはあくまでポジティヴなもの。これも実にデス・エンジェルらしい。「理想の世界を実現するにはどうすれば良いか」と、 彼らは前向きに問いかけるのだ。前作同様ジェイソン・スーコフ、テッド・イェンセンのコンビによるミキシング、マスタリングも完璧。 すでに30歳を超えたベイエリア・スラッシュ・メタルの伝統も、デス・エンジェルがいる限り安泰だ。 なお、本作にはチルドレン・オブ・ボドムのアレキシ・ライホがギター・ソロでゲスト参加している。 【メンバー】 マーク・オセグエダ (ヴォーカル) ロブ・キャヴェスタニィ (ギター) テッド・アギュラー (ギター) ウィル・キャロル (ドラムス) デミアン・シッソン (ベース) 2019/05/31 発売