発売元 : 日本ウエストミンスター株式会社
水墨画家・王子江のジャケットに心がなごむ、子供に向けたクラシック名曲集。監修の有馬礼子による解説はルビ付き、両親向けの手引きまでついた親切さだ。録音は古めだが、音質は上々。何よりも音が微笑んでいるのが嬉しい。懐かしい巨匠たちの名演盤としてもお勧め。★
戦後日本のハワイアン・シーンを牽引してきた二人のスティール・ギター奏者、大橋(vo)と白片(vo)の競演を90年に録音した初のアルバムだ。30〜40年代のハワイアンの雰囲気が横溢し、のどかなハワイアン歌謡となっている。戦後日本でのハワイアンの姿だ。
邦楽器アンサンブル・日本音楽集団結成草創期の60年代後半に初演され70年に録音された三木稔の秀作3曲。自ら主導しただけあって作品は創意横溢。古代を素材にした幻想、西洋弦楽アンサンブルとの協奏、新楽器二十弦筝によるソロ。その響きは気鋭かつ清新だ。
“あの頃の人たち”シリーズ。70年のニューハードとの共演をベースにした作品。ビッグバンドによる華やかなサポートと優れたアレンジが、南里文雄のトランペットを一層引き立てている。また、SPでの貴重な演奏が復刻、収録されて価値ある一枚となった。
武満らと行動を共にし日本の同時代音楽にとってなくてはならない存在だった才人の古今来歴を俯瞰した自画像。情に流されず、音符の一つひとつをクリアに見通すごとき明晰な音の姿が確乎と凛々しい。有馬の新旧作のソノリティの落差など、だから如実に表われる。
戦後のジャズに大きく貢献したゲイ・セプテット黄金時代の6曲と82年の再会セッションを収めたアルバム。演奏はリラックスしたモダン・スウィングで、1959年録音の演奏もかなりのレベル。新旧で同曲が収録されているので比較も一興。瀬川氏の解説も勉強になります。
東西が混交する地平で南と北の風土を幻想する。現れ方こそ違え、ともにカラダの底に浸み込んだいわば骨がらみの音だ。長くお蔵入りしていた伊福部の出世作の録音が興味深い。音の立ち現れるさまを確かめるごとく、ゴツと音楽に共振していく。その情動の形がいい。
我が国の演奏史にその名を刻む声楽界の大御所たちによる洋楽黎明期の歌唱スタイルを心ゆくまで堪能できる。70年頃の収録で、60歳から80歳の声に全盛期の輝きこそないが、SP復刻とは比較にならない音質の良さがポイント。レトロな感覚あふれる佳編である。
有馬礼子が、ライフワークとして取り組んでいる“沖縄”をテーマとした2作品を収録。オーケストラの古典的な響きと沖縄音楽とを融合させた、有馬の常々言う、分かりやすさと的確な表現を体現させた作品。