音楽むすび | 1993年11月21日発売

下巻のこちらは、リズムの面白さでやや上巻に譲る選曲。中でも拾い物は、スチャダラパー「何処か…どっちか…」を連想させる「アイ・ドント・ノー」の日本語エーゴくらいか。大正演歌のひな型「千葉心中(家出の巻)」がたたえる情感に、むしろ新しさが。

江戸の情緒を今なお伝える祭り囃子を完全網羅。年齢・性別・職業に関係なくすべての人の心を踊らせる祭り囃子こそ、真の意味でのオープン・マインドを持った音楽だ。笛と太鼓の音色には思わず懐かしさで胸がいっぱいに。ああ、金魚すくいがしたい。

古典曲の上演と伝承に力を注いできた照喜名朝一師の歌・三線と、島袋光史師の太鼓との競演がうれしい1枚。古典が中心なので「島うた」こと民謡の響きとはまた少しちがった鄙びた魅力がある。ライナーノーツが詳しいので、聴いてよし見てよしのCDである。