1997年11月22日発売
いまさら何もいうことのない人の、何もいうことのない傑作。シンガー・ソングライターという呼称も、この人のこのアルバムをきっかけに一般的になった。1970年発表。最も早い時期につくられた70年代を代表する作品のひとつだろう。マスト・アイテム。
71年春のヒット作品で、キャロル・キングの『タペストリー』と並んで、シンガー・ソングライター・ブームを決定付けた。フォークやカントリーだけでなく、ソウルのリズムやジャズのフレーズなども、巧みに吸収しながら、抑制のとれた演奏もききどころ。
昨今のブームでAORに目覚めたけれど、何か物足りないという方で本作を未聴なら迷わず(8)を聴き、再び全曲を堪能して下さい。恋をしている男性のうつろう心を巧みに歌うテイラーのヴォーカルとマイケル・ブレッカーのサックスに泣いてしまう。これぞ本物です。
75年発表のJ・Tのヒューマンなアルバムで、(1)や(5)とともに、ジャケットの写真も話題を呼んだ作品だった。デビュー時の作風やサウンドを取り戻すとともに、ニック・デカロのオーケストレーションをうまく使い、J・Tミュージックを確立した作品といえる。
J.D.サウザーが84年に発表した、通算4枚目のソロ・アルバム。ちょうど、大ヒット・アルバム『ユー・アー・オンリー・ロンリー』の後にリリースしたもので、当時は待望の新作だった訳だ。リンダ・ロンシュタット、ドン・ヘンリーらLAサウンドの仲間が参加。
78年発表のニコレットのデビュー作。ニール・ヤングやリトル・フィート、ドゥービー・ブラザースのメンバーたちの支援を受けての作品だけに、カントリー音楽を背景にしたさわやかな歌声に乾いた哀愁を感じさせる。西海岸風の音楽を展開し、(1)がヒット。
カリフォルニアのサンタ・モニカ出身のシンガー・ソングライター。古き良きアメリカの香りの残る自作曲を現代のフィーリングでゴキゲンに歌い上げる“いかすギャル”。ある時はしっとりと、ある時は軽くさりげなく。
ジャズ・ピアニスト、ウォルター・デイヴィス・Jr.を父に持つ女性シンガーで、古いポップス・ファンにはフィービー・スノウを思わせるような苦みばしった歌声を聴かせる。しかも、落ち着いたその歌声は、音楽性を含めてとてもしなやかだ。
U.K.産N.Y.のジャマイカンの3(インディ・デビュー作を含めば4)作目。スティングの(2)、スティーヴィーの(11)他おいしくも多彩な元ネタ&ポップな音作りでもうわついた所ゼロなのが彼の力。超速ラガマフィンからうっとり歌ものまで自然で技アリの1枚。
まさに邦題のような意志をもって70年代ニュー・ソウル・ムーヴメントをひっぱった氏(故人)の73年発表第3作。アフロ・アメリカンの讃歌といえる(2)他、ゴスペルが、ブルースが、高い音楽性の中に深々と響く曲ばかり。(11)はボーナス、(5)のB面だった曲だ。
間違いなく70年代のブリティッシュ・バンドにおいて、巨人の1つに数え上げられるのが、このバッド・カンパニー。特に本デビュー作は、エネルギー、完成度、楽曲、どれをとっても超一級品だ。タイトでシンプルな彼らのロックは史上に輝く大きな金字塔だろう。