1998年6月25日発売
伝説のソングライターといわれるジミー・ウェッブのオリジナル作品の中でも本作は特に評価の高いアルバム。「月はいじわる」はジョー・コッカー、リンダ・ロンシュタットが歌ったことでも有名。
本来裏方として名を挙げた人だけに、ロス・ロボスやスザンヌ・ヴェガなど、曲ごとに歌手を変える趣向がまずは成功。ロン・セクスミスが歌う(11)が印象的だ。エド・ウッド映画に通じるフェイク・ラテン趣味が、B級ポルノのサントラから出発した彼らしい。
演奏や歌声面での雑さはあるが、ポップ・センスはかなりのもの。いわゆるビジュアル系に多いビート・ロックではなく、たおやかなメロディと、そのメロディに寄り添う演奏を心がけてる点が嬉しい。聴けば聴くほど楽曲から味が滲み出てくる、良質な楽曲集だ。
まずは年齢からでプリマには大変失礼だが、演奏時(94年)最年長がジョーンズで58歳。後の御三方は50前後で、一番若いグルベローヴァが47歳、こうして音だけで聴く場合、圧倒的に有利なのはグルベローヴァ、貫禄ではギネス・ジョーンズが他を圧倒。
音大受験生にはお馴染みのコールユーブンゲンはそもそもドイツで合唱練習のために作られた。音程感覚やリズム感などを発声とともに身につける目的だから、このCDは合唱団員の自習用などにもOK。ただ移動ド唱なのが良いのか否か? これは難しい問題。
自身がクリスチャンである高田三郎は宗教音楽も多数書いている。これはカルメル会御告げの聖母修道院で、正式に取り入れられ日々の祈りとして定着したひとつの形を聴かせてくれるもの。祈りと労働の修道院生活が、心の込もった歌の中から浮かんでくる。
芸術歌曲から、戦意を高揚させるための曲まで、大正から昭和を時代とともに生きた橋本國彦。戦争によって思わぬ道を歩んだこの作曲家への思いが伝わってくるのは、さすがの藍川由美。ただ“鑑賞”するにはちょっとキツイ曲も。花岡のピアノも上々。