音楽むすび | 1998年7月発売

定番コレクション・シリーズの義太夫編で、五世竹本織太夫と三味線の鶴澤清治が誘う近松世界の決定版。曽根崎心中は、元禄16年に大阪・竹本座で初演された近松門左衛門最初の世話浄瑠璃で、五世の語りが当時の人形芝居や歌舞伎舞台を彷彿とさせる。

登志寿太夫らによる浄瑠璃語り、清元邦寿らの三味線による清元の名曲選である。歌舞伎の舞台右手に陣取り、役者を人形のごとく操り、物語を展開していく浄瑠璃語りがこの清元。やかん頭の志寿太夫ファンには、登志寿太夫の語り口調は精緻と思えるかも。

邦楽の作曲家、平井澄子の代表曲を収録。「切支丹道成寺」は邦楽の楽器にヴィブラホンやオルガンも加わった大作。「愛の世界」は平成元年の国立劇場でのライヴ録音だが、邦楽界のそうそうたる面々がそろっての公演。故・岡本文弥師の元気な声も聴ける。