1999年10月22日発売
発売元
キングレコード株式会社17歳のワーグナーによる第9のピアノ用編曲。小川典子は超人的なテクニックで見事にこの怪作を弾きこなしている。第4楽章は、鈴木雅明率いるBCJが少人数ながら厚みのある合唱を披露。ワーグナーの早熟な天才ぶりを確認できる貴重な録音といえる。★
フォーチュン渾身の一枚。スピリチュアルなジョン・コルトレーンの世界を90年代最後に再構築した。全編を覆うただごとじゃない緊張感、一音一音気合いのこもった音の洪水には魂の洗浄効果あり。コルトレーンの戦友、アリとワークマンの参加が泣かせる。
琵琶と聞けば誰しもまず“平家琵琶”を思うに違いない。本CDは90年作品の再発で、平家琵琶の館山甲午、筑前琵琶の上原まりなど、さまざまな演者による“亡びの美学”『平家物語』の競演。
90年作品の再発。上記の{語りもの}に対して、こちらは“唄もの”。江戸時代に華ひらいた庶民文化の代表、長唄・端唄・小唄・俗曲などの有名曲を収録。{粋}な芸能とは、まさにこれだ。
ジャズ・ギタリスト、井上智の96年発表の『プレイズ・サトシ』に続く新作。すでにプロの経験を持ちながらも91年から再びアメリカでジャズを学び、ジム・ホールから直接の指導を得たという。決して饒舌ではなく、気品のある洒脱な演奏を聴かせる。
ニューヨークを拠点に活動する美人ジャズ・ピアニストとして評価高い愛川由香がデビュー。クラシックからスピリチュアル、スタンダードまでの幅広いレパートリーをベースに、タイトルそのままに自然の豊かさから得られる安らぎにあふれたアルバムが届けられた。
シチリア島出身の若きテノール、シラグーザのデビュー盤である。高音に舞い上がる美声は羽根のように軽やかだ。薄い声帯を持った純粋なレッジェーロだけに、曲によっては声の張りと力強さが不足する。次の録音ではぜひ本領を発揮できる曲目を聴きたい。
コントラバスの第一人者ゲリー・カーの歌うような演奏はこの楽器の可能性を十二分に引き出し、聴くものの心を打つ。ハーモン・ルイスのオルガンととても息が合い、なんともいえない世界を醸しだしている。使い古された“癒し”という言葉がここでは新鮮。