1999年8月25日発売
弦楽三重奏曲というミニマムな編成の弦楽作品はほとんどが若書きの作品である。初期のピアノソナタを思わせる明朗快活さをウィーン・フィルのメンバーでもある3人が再現。全3曲省略なしで約90分になる演奏時間を2枚組に収めたのは英断。
珍盤である。シェレンベルガーはBPOの首席オーボエ奏者として知られた人。シューマン夫妻が書いたオーボエ作品を集めた演目の面白さ(歌曲の編曲もある)もさることながら、シェレンベルガー自らが立ち上げたレーベルでの録音というのがミソ。
コッセの解説によれば、オーボエはブリテン作品を理解するうえで最適な道案内ということになる。そして、最初期の作品「2つの昆虫」から晩年の「双子座」までの流れをシェレンベルガーたちの演奏で俯瞰することで、現代音楽が見いだした活路を聴く。
ニューヨークの先鋭ポップ・グループ、ディラン・グループのアダム・ピアースのソロ・ユニットの2作目。ドラマーらしくさまざまなリズムを肉感的/原始的に弾ませたパーカッシヴなインスト集で、使用楽器もいろいろ。ややジャズ風味なのがいい。
ニールとジェニファーからなるユニットの、通算8枚目のアルバム。曲という概念を一度ぶち壊してから、コラージュしてロイヤル・トラックス流に仕立て上げる術はお見事。(10)のインプロヴィゼーションには、時の流れを超越した永遠性がある。
60年代から活躍していた老ギタリストを音響野郎ジム・オルークが発掘し、自らプロデュース。フェイヒィの奏でる音色をノイズでできたトンネルの内壁に塗り込んでいくようなオルーク。5曲で45分だぞ。ラストは素のアコギ曲でトンネル抜けた心地よさ。
最新作にして、97年に収録されたライヴ。スタジオ・レコーディングとタイム感がまったく変わらないのに驚愕。どこで演奏しようとも、よれよれしてしまうギタリストなんですね。人力ながらむりやりループしたような演奏が生む、あやしい高揚は癖になる。