2007年12月5日発売
弦楽器とオーボエ、ホルンだけという簡素な編成ながら、精緻で流麗、それでいてコントラストの強い緊張感をたたえた第29番。多様な表情を持ち、清澄な悲しみを秘めた第39番とのカップリングで楽しめる。
ハフナー家のためのセレナードとして書かれた、祝祭的な雰囲気を持つ「ハフナー」と、交響曲の最後を飾る、標題にふさわしい明るくて壮麗な第41番の組み合わせ。後者は壮大な展開を見せる第4楽章に注目だ。
「天上的な長さ」とシューマンに言わしめた長大な第9番は、シューベルトならではの美しい歌謡性に富んだ作品。堅固な構築性で新しい世界を切り拓いた、初期ロマン派交響曲の傑作だ。
文学的なイメージを音化した、リストが確立した“標題音楽”の先駆的な作品。恋人を表わす固定楽想は、後のワーグナーによるライト・モティーフにつながる。楽器の使用法ともども、実験的で極めてロマン主義的な作品だ。
メンデルスゾーンが、スコットランドで着想を得て書いた作品2曲をカップリング。高い完成度を持った端正な第3番、ワーグナーが第一級の風景画家と称した「フィンガルの洞窟」、ともに傑作である。
ゲーテの勧めでイタリアを訪れた時の印象を交響曲にまとめた「イタリア」と、シェイクスピアの劇のための音楽で、結婚行進曲が有名な「真夏の夜の夢」のカップリング。「イタリア」の完成度の高さはとりわけ素晴らしい。
シューベルトの「ザ・グレート」の発見とベトガーの詩に刺激されて書かれた第1番は、明るく開放的な響きに満ちた楽曲。4本のホルンのための小協奏曲の「コンツェルト・シュトゥック」は、名人芸が冴えわたっている。
第3番は、実質的なシューマン最後の交響曲。ライン地方に転居した直後、精神病のさなかに書かれたが、ロマンティシズムあふれる作品となっている。「マンフレッド」は、バイロンの劇の序曲として書かれたもの。
ベートーヴェンを意識しすぎ、20年も構想を温めて発表された最初の交響曲。ビューローにベートーヴェンの第10交響曲と言わしめた、ベートーヴェン的な高揚感とブラームスならではの響きに満ちている。
第1番完成の翌年、わずか3ヵ月ほどで書き上げた作品。“ブラームスの「田園交響曲」”とも呼ばれているが自然描写はなく、温かく伸びやかな雰囲気で、彼の4曲の交響曲の中で最も親しみやすい作品となっている。
ブラームスの特徴の一つである渋くて厚みのある響きで覆われているが、メロディ自体は大変に美しく、第3楽章は映画『さよならをもう一度』で使われて有名になった。重厚で泣かせる「悲劇的序曲」とのカップリングで楽しめる。
タイトルどおり、ロマン主義的な世界を表わしており、作曲者自身の解説によれば、中世の騎士の森での狩をイメージしたとのこと。自然描写などを含み、分かりやすく、ブルックナー的な特徴にもあふれた作品だ。
この第7番は、第4番とともに、ブルックナーの交響曲の中では最も人気のある曲。冒頭の“ブルックナー開始”や、突然の“ブルックナー休止”、そして心地よい“ブルックナー・リズム”などが堪能できる傑作だ。
第8番は「新世界」に次いで人気のあるドヴォルザークの交響曲で、全体のまとまりも素晴らしく、民族音楽の使い方が日本人の心の琴線に触れる。特に第3楽章は、ドヴォルザークが書いた最も美しい音楽とされている。
ドヴォルザークのというより、クラシック音楽中屈指の人気曲のひとつが、この第9番。アメリカの民俗音楽を使いつつ、故郷ボヘミアへの思いを込めた作品で、その哀愁に満ちた旋律が印象的だ。
この第6番は、死の9日前に初演された、チャイコフスキーの最後の作品となったもの。歴代交響曲の中でも常に人気の上位を占めてきた作品で、死を予感させる終楽章へとすべてはなだれ込む。その美しい暗さは絶品だ。
世紀末最大の交響曲作家、マーラーの最初の交響曲で、さほど長くなくその構成も分かりやすく親しみやすい作品。歌曲集「さすらう若人の歌」と密接な関係を持ち、失恋とさすらいがテーマのロマンティックな楽曲だ。