制作・出演 : シンフォニア・ヴァルソヴィア
デビューから25年、小山実稚恵のショパン録音から選りすぐった小品集。協奏曲第2楽章のソロ・ヴァージョンが今回新たに吹き込まれた。豊かな感性を滲ませた演奏はまさに極上の出来栄え。今や円熟の興に入ったピアニストの歩みを聴き取れる珠玉のCDである。
2005年にポーランドで刊行された校訂譜による録音だが、そんな話題性よりも徹底的に楽譜を読み込んだ小山実稚恵の演奏がいい。ショパン弾きとして知られる彼女にとって初の協奏曲録音。愛着を込めて弾く指先から薫り立つようなショパンが聴こえてくる。
古楽器系の軽くビジュアルな音の姿や、仕掛けを利かせてウロコを落とす類のパフォーマンスには与せず、イタリアが生み出したヴァイオリン技法の精華、その喝采へと駆り立てるワザの身振りを真っ向受け止めて、颯と聴かせた快演。いわく“協奏曲”である。
オーボエで奏でられるヘンデルのたおやかな旋律には、他の何ものにも替え難い魅力がある。オペラやオラトリオの中からうってつけの部分を選んで協奏曲よろしく編曲再構成したこのCDは、名曲サワリ集と見せながらそんなヘンデルを広汎に凝縮した逸品である。
シューベルトの「ザ・グレート」の発見とベトガーの詩に刺激されて書かれた第1番は、明るく開放的な響きに満ちた楽曲。4本のホルンのための小協奏曲の「コンツェルト・シュトゥック」は、名人芸が冴えわたっている。
2007年11月の来日に合わせて、本人が過去の録音の中から選曲したこのベスト盤は、日本だけのリリース。21世紀初頭を代表するピアニストになるに違いない彼を、まだ聴いていない人に最適の一枚。十全のテクニックが何のために必要なのかを考えさせてくれるアルバムでもある。
発売元
日本コロムビア株式会社“親子であるいは子供に聴かせたいモーツァルト”がコンセプト。CD3枚に各テーマを設け、さまざまなジャンルの作品から、右脳に刺激を与え、発育に効果的な部分を抜粋している。出産祝いにも喜ばれるだろう。