2010年11月発売
ギタリストでもあったパガニーニは、ギターとヴァイオリンのための曲をたくさん書いているが、その多くがロマンティックで甘美な曲である。シャハムとセルシェルが初共演した、決定盤といってもいいアルバムだ。
ともに南米出身の同世代のピアニストだが、フレイレはアルゲリッチと組んで改めて、その存在を鮮明にアピールした。これはそのうちの1枚で、2人の調和と緊張感が見事にバランスされた名盤として名高い。
キーシン19歳の時の録音で、同時に撮った映像もある。シューベルトのヴィルトゥオーゾ的大作「さすらい人幻想曲」やブラームス晩年の渋い名品、リストの華やかな曲と、キーシンの技巧と抒情性が発揮された一枚。
フィッシャー=ディースカウにとって、「さすらう若人の歌」と「亡き子をしのぶ歌」はフルトヴェングラーとの名演以来の再録となる。彼の全盛期の録音だけあって、細部に至るまで入念に練り上げられており、見事としか言いようがない。
年齢ごとにピアニストを替えて、数種類の録音を残しているフィッシャー=ディースカウが50代半ばに行なった、5度目となる録音。雄弁なバレンボイムのピアノを得て、またひとつ名演が加わった。
制作・出演
LennoxMackenzie / アシュレイ・アールブックル / クラウディオ・アバド / ペルゴレーシ / マイケル・デイヴィス / マーガレット・マーシャル / ルチア・ヴァレンティーニ・テッラーニ / レスリー・ピアソン / ロンドン交響楽団アバドの2種ある録音のうち最初のもの。駄作がないといわれる古今の「スターバト・マーテル」中屈指の傑作といわれる、早世の作曲者の白鳥の歌で、アバドの静と動の見事な対比と2人の歌手の名唱が感動を誘う。
デイヴィスはボストン響とロンドン響とで約20年の期間をおいて2種の全集を作っている。これは、最初の録音の方である。シベリウスのダイナミズムと抒情性とが見事にバランスされたスタンダードな名演である。
ゲルギエフのライヴ録音した全集からの1枚。7曲ある交響曲の中で最もポピュラーな2曲をカップリングしている。ゲルギエフの熱気にぴたりとついて行くロンドン響の優れた機能性が見事に合致した演奏だ。
近現代ものにおいて絶大な力を発揮する小澤のR.シュトラウスだけに、非常に高い評価を得ている録音である。ボストン響を完全にコントロールし、細部のへの彫琢とスケール感とを併せ持った演奏を展開する。
デュトワによってモントリオール響は、洗練されたオーケストラへと変貌を遂げた。当コンビによるストラヴィンスキー初録音となる「春の祭典」など、精緻で多彩な色彩感と強烈なダイナミズムを両立させている。
小澤の珍しいバッハもので、師匠の斉藤秀雄をはじめ、ストコフスキー、ウェーベルン、シェーンベルク、ストラヴィンスキーと、編曲者の選定がいかにも小澤らしく、発売当時話題となった。無条件に楽しめる1枚だ。
制作・出演
エヴァ・ランドヴァー / カルディ・カルドフ / シャルル・デュトワ / セルゲイ・レイフェルクス / トーマス・トロッター / ナターリア・トローイスカヤ / モントリオール交響合唱団 / モントリオール交響楽団 / ヤナーチェク特異な形式で書かれたヤナーチェク唯一の交響曲と、晩年に書かれた大作の宗教曲を収録している。いずれも民族を強く意識した作品だが、デュトワは民族色は薄まるものの、豊かな色彩感と輝かしい響きで表出している。
小澤唯一のワーグナー・アルバム。パリ・オペラ座での「タンホイザー」が好評だったように、もっとワーグナーを聴きたかったと思わせる1枚だ。小澤独特の洗練された極上のワーグナーを聴くことができる。
モントリオール響のコンサートミストレル、ジュイエを立ててのヴァイオリン作品集。かなり凝った選曲で、ジュイエの品のいいヴァイオリンとオーケストラとの調和とコントラストが素晴らしく美しい。
ムローヴァが古楽奏法などに目を向け変貌を遂げる前の、80年代の彼女の代表的なアルバムだ。幾分冷たい完璧な技巧が、この2曲に見事にはまって、彼女の欠点が大いなる長所となって聴き手を圧倒する。
ホルン奏者を父に持ち、自身もホルンの音色が好きだったR.シュトラウスのホルン作品をまとめた、珍しくも洒落た1枚。イギリスの名手タックウェルと、アシュケナージの指揮とピアノで楽しめる。
制作・出演
J.S.バッハ / アントニオ・ペレス=ルイス / イターロ・コランドレア / イヴリン・ナレン / イ・ムジチ合奏団 / セヴェリーノ・ガッゼローニ / トーマス・インデアミューレ / ハインツ・ホリガー / マイケル・コプレイイ・ムジチによる2回目の録音。ホリガーにガッツェローニ、インデアミューレやトゥーネマンにバウマン、チェンバロがガラッティと豪華なソリストを擁しているが、美しい調和に満ちているところがさすがである。
日本を代表するヴィオラ奏者、今井信子による音楽の花束『ヴィオラ・ブーケ』の第1弾。ヴァイオリンともチェロとも違う、人間の声に近い音域と音色をもつヴィオラならではの響きで聴く有名曲の数々は心が洗われる。
世界的なヴィオリスト今井信子による、ヴィオラによる名曲集『ヴィオラ・ブーケ』の第2弾。イギリスの近現代の作品と、バッハの「シャコンヌ」のソロ版と四重奏版を併録するなど、凝った選曲も楽しめる。