著者 : よしもとばなな
失恋の痛みと、都会の疲れをいやすべく、ふるさとに舞い戻ったほたる。大きな川の流れるその町で、これまでに失ったもの、忘れていた大切な何かを、彼女は取り戻せるだろうか…。赤いダウンジャケットの青年との出会い。冷えた手をあたためた小さな手袋。人と人との不思議な縁にみちびかれ、次第によみがえる記憶ー。ほっこりと、ふわりと言葉にくるまれる魔法のような物語。
生まれて初めて、ひとを「好き」になった瞬間を、覚えていますか?14歳の少女が恋をした。ばななワールドの新たなる幕開け、心温まる永遠のファンタジー。
失恋の痛みと都会の疲れを癒すべく、故郷に舞い戻ったほたる。雪に包まれ、川の流れるその町で、これまでに失ったもの、忘れていた大切なものを彼女はとりもどせるのだろうかー。言葉が伝えるさりげない優しさに救われるときはきっとある。人と人との不思議な縁にみちびかれ、自分の青春をあらたにみつける静かな回復の物語。
霊能者の祖母が遺した予言通りに、インドから来た青年「ハチ」と巡り会った私は、彼の「最後の恋人」になった…。運命に導かれて出会い、別れの予感の中で過ごす二人だけの時間ー求め合う魂の邂逅を描く愛の物語。
電車の車内で、あなたは何をしていますか。時間を持て余した時、誰もがふと見上げる中吊り。JR東日本の中吊りに連載されて話題となった19編の「中吊り小説」が遂に一冊になりました。吉本ばななから伊集院静まで、当代きっての人気作家達が描く、恋愛小説、幻想譚、コント、エッセイ、メルヘンなどなど。単行本収録の8編に、文庫化にあたり新たに11編を加えたお得な完全版です。
病弱で生意気な美少女つぐみ。彼女と育った海辺の小さな町へ帰省した夏、まだ淡い夜のはじまりに、つぐみと私は、ふるさとの最後のひと夏をともにする少年に出会ったー。少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらないきらめきを描く、切なく透明な物語。第2回山本周五郎賞受賞。
ただひとつ、ずっとわかっていることはこの恋が淋しさに支えられているということだけだ。この光るように孤独な闇の中に2人でひっそりいることの、じんとしびれるような心地から立ち上がれずにいるのだ。-絶対の愛の感情と喪失を透明な夜の夜間の中に描いた「白河夜船」「夜と夜の旅人」「ある体験」の三部作。
家へ帰りたくない新婚のサラリーマンが深夜の電車で不思議な人物に出会う吉本ばななの「新婚さん」、電車に一匹の犬が乗りこんできたためにくりひろげられる光景を描く椎名誠の「ある日。」など、電車の中吊りに連載されて大評判になった8つの小説を絵入りで再現する楽しい超話題本。
出会った時からずっと、2人はいつでも2人きりで満天の星空の下にいるような気がした…。そしていつも何となく悲しいような感じがした。-二人の運命的な出会いと愛のかたちを通し、かなたにある希望と幸せを描いた「キッチン」に続く第二作品集。芸術選奨新人賞受賞。
ただひとつ、ずっとわかっていることは、この恋が淋しさに支えられているということだけだ。この光るように孤独な闇の中に2人でひっそりいることの、じんとしびれるような心地から立ち上がれずにいるのだ(「白河夜船」)。あの時、夜はうんと光っていた。永遠のように長く思えた。いつもいたずらな感じに目を光らせていた兄の向こうには、何か、はるかな景色が見えた(「夜と夜の旅人」)。また朝になってゼロになるまで、無限に映るこの夜景のにじむ感じがこんなにも美しいのを楽しんでいることができるなら、人の胸に必ずあるどうしようもない心のこりはその色どりにすぎなくても、全然構わない気がした(「ある体験」)。