小説むすび | 著者 : アーサー・モリスン

著者 : アーサー・モリスン

不思議の探偵/稀代の探偵不思議の探偵/稀代の探偵

明治32年に「中央新聞」に連載された『シャーロック・ホームズの冒険』全12作の翻案と、翌33年に同紙に連載された「マーチン・ヒューイット」シリーズからの5作品の翻案。日本探偵小説の黎明期に生み出された記念碑的な作品の数々を、120年以上の時を経て初単行本化! 初出紙の挿絵129点を完全収録!  では何故、南陽外史は『不思議の探偵』のあとに、シャーロック・ホームズ譚ではなくマーチン・ヒューイット探偵譚を連載したのだろうか? おそらく彼は、黒岩涙香の影響から抜け出して、イギリスの探偵小説を中心に独自の世界を築こうとしていたのではないかと思われる。(…)  しかし『稀代の探偵』を発表したあと、南陽外史は、どういうわけかイギリスの探偵小説に対する関心が急激に薄れていったようで、結局、『シャーロック・ホームズの回想』が彼の手で訳述されることはなかった。(…)『不思議の探偵』の新聞連載が好評であったにもかかわらず、単行本として出版されなかったのも南陽外史の意向だったのかもしれない。  今回、『不思議の探偵』と『稀代の探偵』が復刻されたことにいちばん驚いているのは、案外、東京郊外の多磨霊園に眠る南陽外史その人ではあるまいか。(「編者解説」より) 不思議の探偵 毒蛇の秘密/奇怪の鴨の胃/帝王秘密の写真/禿頭倶楽部/紛失の花婿/親殺の疑獄/暗殺党の船長/乞食の大王/片手の機関師/紛失の花嫁/歴代の王冠/散髪の女教師 稀代の探偵 三度に渡る不思議の窃盗/自殺に擬う不思議の暗殺/水雷秘密設計書の不思議の紛失/希臘古代宝玉の不思議の消滅/破船に搭載せし万両箱の不思議の行衛 編者解説

マーチン・ヒューイット【完全版】マーチン・ヒューイット【完全版】

バロネス・オルツィの「隅の老人」、ジャック・フットレルの「思考機械」と並ぶ“シャーロック・ホームズのライバル”「マーチン・ヒューイット」。原書4冊に収録されたシリーズ全25作品を1冊に集成! 本邦初訳作品も多数! 初出誌の挿絵165点を完全収録! 初出誌と単行本の異同もすべて記録! マーチン・ヒューイットは、ホームズの「ライヴァル」というよりも、ホームズ・シリーズが「最後の事件」をもって「ストランド・マガジン」の連載を終了したあと、その穴を埋めるべく連載が始まったものなので、「シャーロック・ホームズのピンチヒッター」と呼んだほうがいいのかもしれない。挿絵も、ホームズと同じくシドニー・パジェットが担当し、描かれたマーチン・ヒューイットの姿形がホームズの兄マイクロフト・ホームズにそっくりで、しかも氏名の頭文字がどちらも「M・H」だったので、二人は同一人物なのではないかという奇説まで飛び出した。 マーチン・ヒューイット・シリーズは、全四冊の単行本からなっている。 幸い、すべての作品がこれら四冊の単行本に収録されているので、多くが単行本未収録だった「思考機械」とは違って、楽に作品を蒐集することができた。また「隅の老人」のような大幅な書き換えもなく、三つの中では訳出する上で一番苦労が少なかったかもしれない。だが、最初の二冊の収録作には既訳が多くあるものの、あとの二冊はほとんど手つかずで、特に『赤い三角形』は本書がすべて本邦初訳である。(平山雄一「訳者解説」より) 『マーチン・ヒューイット、探偵』レントン農園盗難事件/サミー・スロケットの失踪/フォガット氏事件/ディクソン魚雷事件/クイントン宝石事件/スタンウェイ・カメオの謎/亀の事件『マーチン・ヒューイットの事件簿』蔦荘の謎/ニコバー号の金塊事件/ホルフォード遺言状事件/失われた手の事件/レーカー失踪事件/記憶喪失の外国人事件『マーチン・ヒューイットの冒険』ゲルダード氏の駆け落ち事件/故リューズ氏事件/セットン夫人の子どもの事件/「コウモリ槍騎兵隊」事件/死んだ船長の事件/ワード・レーンの礼拝堂事件『赤い三角形』サミュエルのダイヤモンド事件/ジェイコブ・メイソン氏事件/レヴァー鍵の事件/納屋の火事の事件/海軍暗号事件/チャネル・マーシュの冒険マーチン・ヒューイットの略歴/訳者解説

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