著者 : イタロ・カルヴィ-ノ
むずかしい愛むずかしい愛
『むずかしい愛』は、現代人の日常生活の中でのさまざまな“すれちがい”のおかしさを集めた、ユーモアとエスプリに満ちた短篇集である。活字中毒者が繰り広げる微笑ましい恋愛光景を描いた「ある読者の冒険」、写真マニアの秘かな願望を探る「ある写真家の冒険」他、全12篇を収録。
魔法の庭魔法の庭
蟹だらけの船。魚とりの少年。羊飼いと狩人。猫と警官。菓子泥棒。パルチザンと少女。動物たちの森-。地中海からアルプスにつらなる自然を背景に描かれた、ユーモラスで寓話的な、そしてみずみずしく爽やかな、11の珠玉の短篇。名作『まっぷたつの子爵』から、遺作『パロマー』につながる、カルヴィーノの多彩な魅力の原点をなす初期作品集。
くもの巣の小道くもの巣の小道
『くもの巣の小道』は『木のぼり男爵』、『マルコ・ポーロの見えない都市』等の奇想天外な現代小説の作者として知られる、イタロ・カルヴィーノの長篇代表作である。物語の舞台となるのは、第二次大戦中のドイツ占領下のイタリアの片田舎。娼婦の姉を持つ少年ピンは、姉の許に通うドイツ兵からピストルを盗み出したのがきっかけで、パルチザン部隊の一員となる。だが彼が加わったパルチザン部隊は、他の部隊からはみ出した奇妙な、愛すべき“落ちこぼれ”たちのふきだまりであった。自分が「病気だ」と主張してはばからないニヒリストの隊長ドリット、元船コックで“過激派”の食糧係マンチー、ガンマニアで元黒シャツ隊員のペッレ等々いずれ劣らぬクセ者たちとピンは“森の生活”を共にする。そして少年ピンの目の前で裏切り、待ち伏せ、報復、戦闘とパルチザンの“日常的光景”が次々と繰り広げられて行く…。本書はカルヴィーノの文学的原点であり、著者自身のレジスタンス体験から生みだされた、リリシズムに満たちネオ・レアリズム小説の傑作である。
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