著者 : ウラジーミル・ナボコフ
様々な読み解きを誘う永遠の代表作。少女愛モティーフの原型となる中篇。夢想の少女を追い求めた男の欲望の果て。読み直すたびに新しい、20世紀文学に聳える金字塔。ナボコフ自身が翻訳したロシア語版との異同を注釈に付す完全増補版。
「賜物」(1938)。フョードルはロシアからベルリンに亡命し、初の詩集を出版したばかりの文学青年。家庭教師で糊口をしのぎつつ、文学サロンに顔を出し、作家修行に励むのだが、詩集の反応は薄く、父の伝記を書こうとしては断念する。しかし転居を機に下宿先の娘ジーナと恋仲になり、19世紀の急進的思想家、チェルヌィシェフスキーの評伝に取りかかる。ナボコフの自伝的要素を含んだ、ロシア語時代の集大成となる「芸術家小説」。「父の蝶」。「賜物」の主人公フョードルが語り手となり、鱗翅学者としての父親の功績を偲ぶ、なかばエッセイのような短篇小説。父が編纂した蝶類図鑑の理想的なまでの魅力を語り、父が提唱した新たな分類学の理論を解読しながら、フョードルは亡き父の像を浮かび上がらせてゆく。「賜物」の単行本に並録する予定で執筆されたという見方が有力だが、未完成のまま遺され、ナボコフの死後、息子のドミートリイによって発表された。
至高のチェス小説、究極の視点人物。「不死鳥のように甦った偉大なロシア文学」と讃えられた長篇の、初のロシア語原典訳。
初恋、ベルリン、危険な三角関係。初恋の記憶をめぐる処女作と、大都会に上京した青年の危険な密通。20世紀最高の天才作家、初のコレクション。「言葉の魔術師」の瑞々しい初期名作が、40年以上の時を経てロシア語原典訳でよみがえる。
自らの伝記的事実と作品をパロディー化し、物語のそこここに多様なモチーフ(サーカス、コンメディア・デッラルテ、気象、右と左…)を潜ませるー。ナボコフが仕組んだ「間違いさがし」を解き明かす訳注付き。
ベルリン存在のビジネスマンのゲルマンは、プラハ出張の際、自分と“瓜二つ”の浮浪者を偶然発見する。そしてこの男を身代わりにした保険金殺人を企てるのだが…。“完全犯罪”を狙った主人公がみずからの行動を小説にまとめ上げるという形で書かれたナボコフ初期の傑作!
「ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。…」世界文学の最高傑作と呼ばれながら、ここまで誤解多き作品も数少ない。中年男の少女への倒錯した恋を描く恋愛小説であると同時に、ミステリでありロード・ノヴェルであり、今も論争が続く文学的謎を孕む至高の存在でもある。多様な読みを可能とする「真の古典」の、ときに爆笑を、ときに涙を誘う決定版新訳。注釈付。