著者 : エドウィージ・ダンティカ
すべて内なるものはすべて内なるものは
異郷に暮らしながら、故国を想いつづける人びとの、愛と喪失の物語。四半世紀にわたり、アメリカ文学の中心で、ひとりの移民女性としてリリカルで静謐な物語をつむぐ、ハイチ系作家の最新作品集、その円熟の境地。全米批評家協会賞小説部門受賞作!
クリック? クラック!クリック? クラック!
カリブ海を漂流する難民ボートの上で、屍体が流れゆく「虐殺の川」の岸辺で、ニューヨークのハイチ人コミュニティで…、女たちがつむぐ十個の「小さな物語」が地下茎のようにつながり、ひとつの「大きな物語」を育んでいく。「クリック?(この話、聞きたい?)」「クラック!(聞かせて!)」-物語の始まりを告げる掛け合いの言葉とともに、現代の“伝承”が生まれ出る。
デュー・ブレーカーデュー・ブレーカー
夫は、わたしの身内を拷問した「デュー・ブレーカー」(朝露を蹴散らす者=拷問執行人)かもしれない。わたしが勘づいていることを、夫もまた知っているだろう。いつの日か娘が両親の秘密を知って、アメリカでやっと手にしたこのささやかな幸せが失せる時が来てしまうのだろうか…。九つの挿話が、まるでカリブの濃密な夜空に輝く星座のように配置されるとき、故国ハイチの社会的記憶が浮かび上がる。
ほどけるほどける
双子の姉を交通事故で喪った、十六歳の少女。自らの半身というべき存在をなくした彼女は、家族や友人らの助けを得て、悲しみのなかでアイデンティティを立て直し、新たな歩みを始める。全米が注目するハイチ系気鋭女性作家による、愛と抒情に満ちた物語。
PREV1NEXT