著者 : エンミ・イタランタ
織られた町の罠織られた町の罠
この町では、人の命に価値は認められない。 生き延びるため、己の技能を磨かなければ、追放あるのみーー。 ある晩、血にまみれた少女が織の家の敷地内で発見された。 舌を切られた少女の手の平に彫られていたのは、織り子のエリアナの名前だった。 少女の素性と入れ墨のことを探るうちに、 エリアナは町の背後に見えない組織の力が蠢(うごめ)いていることに気づく。 度重なる洪水が島を襲い、未知の病によって動植物や島民に異変が起こり始め、 織り子たちが織り上げた道はゆっくりと沈んでいく。 やがてエリアナは、糸が織られるように絡みあう島の過去と現在に、 自分の運命も編みこまれていることを知る。 織り子たちが織り上げた糸の壁ーーもしくは、島では固く禁じられている夢のなかにいるかのように。
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