著者 : オ・ヨンア
大都会の中心に位置する築四十余年の電子機器専門ビル群。再開発による撤去の話が持ち上がり、ここで働く人たちは“存在していないもの”のように扱われる。弱き者たちに向かう巨大な暴力。この場所を生活の基盤とするウンギョとムジェを取り巻く環境はきびしくなっていく。しかし、そんな中でも二人はささやかな喜びで、互いをあたたかく支えあう。二人が歩く先にはどんな希望が待っているのか…。
70万部突破のベストセラー 『すべての瞬間が君だった』の ハ・テワンによる3年ぶりの新作! 「読み終えて涙が出ました。いつも暖かい慰めになってくれてありがとうございます」 「今日の私の姿がそのまま文の中に込められています。大きな力をもらいました」 …感動の声続々!! あなたの心の奥底をゆさぶり、やがてあたたかさに満たす一冊。 偶然出会ったたった一行の 心のこもった文章が、 時にその瞬間を、 一日を、 これからの人生を乗り越える 力を与えてくれる。 人生のさまざまな瞬間に寄り添い、 ささいな日常をきらきらと輝かせる そんなことばがぎっしりつまったエッセイです。 本書の中には、 誰かを思うたくさんの心が込められています。 辛いのではないか。 痛いのではないか。 どうすれば慰めになるのか。 どうすれば愛をこめた言葉をかけることができるのか。 もっと勇気を与えたくて、 力になってあげたくて、 一歩近寄ろうとする気持ち。 ハ・テワンが読者に向けて発信する文章には、 このような愛に満ちています。 前作が70万部超えるほど長く愛されているのも、 彼に感謝の気持ちを表す読者たちの返事が毎日のように殺到するのも、 そのため。 本書は、多くの人が忘れかけていた 「愛」や「優しさ」を日常のなかにとり戻す一冊。 読めば、心の奥がゆさぶられ、涙と笑顔にあふれ、 やがて、心がふわっとやわらかくなることでしょう。
幼少期、海外養子縁組に出されたナナは、フランスで役者兼劇作家として暮らす。そんな彼女に突然、人生を変える2つの知らせが届く。別れた恋人との間に子どもを妊娠したことと、韓国から来た、自分の人生を追ったドキュメンタリー映画への出演依頼と。生みの親を知らないナナは、生まれてくる子どものためにも自分が“誰なのか”を見つけようとソウルへ向かう。そして、思いもしなかった人たちとの出会いから、35年前、駅に捨てられた暗い記憶の糸が少しずつほぐれていき…。海外へ養子に出された子どもたち、米軍の基地村で生きた女性たち…現代韓国の歴史の中でなきものとされてきた人たちにひと筋の光を差し込む秀作長編小説。第27回大山文学賞受賞作。
幼い頃に父を工場の事故で亡くしたソラとナナは、生活の意欲を失っていく母と行き着いた暗い半地下の瞬居で少年ナギと出会う。「無理してがんばったって、人生はある日突然断ち切られて、それでおしまい」。そう繰り返す母の言葉から抜け出せないまま大人になる姉妹と、行き場のない思いを抱え、暴力に飲み込まれていくナギ。世界の片隅でひっそりと寄り添う3人に訪れる未来のかたちとはー。現代韓国文学の旗手が、みずみずしくも濃密に生の息遣いを描く。第23回大山文学賞受賞作。
彼を抱きしめると、俺はこの世のすべてを手に入れたような気がした。 光と影が渦巻く大都市ソウル。 最低賃金のバイトをしながら、くずみたいな文章を書きなぐって暮らす〈俺〉は、どれだけ派手に遊んでも、消せない孤独を抱えている。 そんな日々のなか、梨泰院(イテウォン)のクラブでバーテンダーとして働くギュホと出会い、愛を分かちあう。 しかし〈俺〉には、人に言えない“秘密”がある……。(「大都会の愛し方」) 喧騒と寂しさにあふれる大都会で繰り広げられる多様な愛の形。 さまざまに交差する出会いと別れを切なく軽快に描く。 韓国で新時代の文学として大きな話題を呼んだベストセラー連作小説。 ・ジェヒ ・メバル一切れ宇宙の味 ・大都会の愛し方 ・遅い雨季のバカンス ・あとがき ・訳者あとがき
図書館で目にした1編の詩から、「僕」はその詩人の人生を通して愛を語ることになり、生と死を見つめる。-「世界の果て、彼女」思春期の暴走、家族や仕事からの逃避行、失った恋、失踪した父親に対する愛憎。恋人、夫婦、家族の関わり方に悩む人たちがいる。ここに登場する人たちは、さまざまな形で現れる他者との出会いによって、自分自身を見いだしていく。人と人は理解し合えるのか、と問う物語の中で。
誕生日をきっかけにダイエットをはじめた「僕」のもとへ、生き別れた父の入院の知らせが届く。「僕」は肥満児だった幼少期の自分と父との記憶をたどる。-「美しさが僕をさげすむ」。日々の暮らしに内包される悩み、悲しみをアイロニーとユーモアで彩り、人生を見据える6編。