著者 : ガブリエル・ガルシア・マルケス
愛の欠如のなかに生きる孤独な人間の生と死、相つぐ奇想天外な事件、奇態な人々の神話的物語世界-マコンド村の創設から百年、はじめて愛によって生を授かった者が出現したとき、メルキアデスの羊皮紙の謎が解読され、ブエンディア一族の波瀾に満ちた歴史が終る。世界的ベストセラーとなった傑作長篇の改訳。ノーベル文学賞受賞。
愛は成就されず、成就されるのは愛でないものばかり。十二月の最初の日曜日、十二歳になる侯爵のひとり娘シエルバ・マリアは、市場で、額に白い斑点のある灰色の犬に咬まれた。背丈よりも長い髪の野性の少女は、やがて狂乱する。狂犬病なのか、悪魔にとり憑かれたのか。抑圧された世界に蠢く人々の鬱屈した葛藤を、独特の豊饒なエピソードで描いた、十八世紀半ば、ラテンアメリカ植民地時代のカルタヘーナの物語。
〈バラの傷〉から流れ出る血。雪の上に続く血の跡。傷口から流れる魂-コロンビアの小さな村にこだわってきた作家が、一転して、バルセロナ、ジュネーヴ、ローマ、パリといったヨーロッパの都市を舞台に、異国の地を訪れたラテンアメリカ人の孤独を、洗練された文体で描き、そのアイデンティティを模索する幻想小説集。
夢の世界に繰り返し現われる女性との奇妙な交流を描いた表題作「青い犬の目」、死に対する恐怖のイメージに満ちた、カフカ的悪夢の世界「三度目の諦め」、自らの美貌に苦しめられる女性の悲しい変身譚「エバは猫の中に」、死者の側から眺めた日常の光景「誰かが薔薇を荒らす」、『百年の孤独』の世界へと通じるマコンド物の1篇「マコンドに降る雨を見たイサベルの独白」他、全11篇を収録。
1955年2月のある日,荒天下のカリブ海で、コロンビア海軍の駆逐艦から数名の水兵が海に落ちた。全員が絶望視されていたにもかかわらず,10日後、1人の水兵が瀕死の状態で母国に漂着した。太陽に焼かれ、鮫と闘い、友人の霊と語り、筏に自らを縛り付け、人喰い人種の島を恐れ、巨大な海亀に出会いつつ、極限的な飢えと渇きの果てに祖国に生還した彼を待ちうけていたものは…。
夢を打ち砕かれ、わずか46歳で老人のように病み衰え、ひたすら死地へと、マグダレーナ河をさまよい下る報われぬ旅に出たシモン・ボリーバル。宗主国スペインからの独立を成し遂げ、〈解放者〉と呼ばれた華やかな面影はすでにない…。-失意のうちに没した実在の英雄を描く本格的“歴史小説”。
夢の世界に繰り返し現われる女性との奇妙な交流を描いた表題作「青い犬の目」、死に対する恐怖のイメージに満ちた、カフカ的悪夢の世界「三度目の諦め」、自らの美貌に苦しめられる女性の悲しい変身譚「エハは猫の中に」、レストランのカウンターで店主と娼婦の対話から成る、ヘミングウェイを思わせる小品「六時の女」、死者の側から眺めた日常の光景「誰かが薔薇を荒す」、『百年の孤独』の世界へと通じるマコンド物の1篇「マコンドに降る雨を見たイサベルの独白」他、全11篇を収録。
コロンビアのノーベル賞作家ガルシア=マルケスの異色の短篇集。“大人のための残酷な童話”として書かれたといわれる6つの短篇と中篇「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」を収める。