著者 : キャロライン・アンダーソン
体調を崩した産科医ダンを心配し、食事に招いた助産師のジョージー。惹かれ合った二人は、帰り際のキスが高じてベッドをともにする。“妊娠の心配はない”と、ジョージーはダンに伝えた。かつて妊活を4年間続けたものの叶わなかったうえに、元夫の浮気相手の妊娠によって離婚し、自分は不妊症だと確信していた。一方、ダンは大学時代に恋人と子供を出産で失い、命を救えなかった罪悪感から産科医になったのだった。二人はその後も仕事を通じ、互いのつらい過去を知るようになっていった。そんなある日、思いもよらない事実が判明するーなんと、ジョージーのお腹に新しい命が宿っていたのだ!
ついにアイオナは意を決した。どうしても赤ちゃんができない妹夫婦のためには、ドナーを探して私が代理母になるしかないわ!そんな折に出会ったのは、同じ病院の凄腕医師ジョー。吸いこまれそうなほど明るいブルーの神秘的な瞳の持ち主だ。ジョーに魅せられた彼女は代理母になろうとしていることを彼に告げる。すると、彼はアイオナの決意を危ぶみながらも、最終的には協力を約束してくれたー妊娠すれば終わる関係として。悲惨な離婚を経験しているジョーが誰かを愛することなど二度とない。それでもアイオナの彼への想いは募る一方で…。
リディアは1年前、実業家ジェイクとの結婚を拒んで逃げ出した。彼の気持ちもわからないまま結婚などできないと思ったから。挙式直前のリハーサルに臨む段に至ってもなお、ジェイクの口からプロポーズの言葉さえ聞けなかったのだ。リディアは結婚できないと宣言すると、いたたまれず旅に出た。彼の“愛している”のひと言さえあれば、留まっていたかもしれない。でもまさか、妹がジェイクの親友と結婚するとは思ってもみなかった。実現しなかった結婚式の準備に関わるうち、二人は意気投合したという。リディアは皮肉な運命を嘆きつつ、妹の結婚式に出るため帰国した。当然顔を合わせることになる、ジェイクとの再会を覚悟して。
ローリーは2年前に仕事を辞め、子どもを授かる日を待っているが、なかなか恵まれないまま、毎月落胆のため息をついていた。多忙な実業家の夫ロブはほとんど帰宅せず、いつしか情熱も薄れていった。そんな結婚生活を切なく感じたローリーは、居場所を告げることなく、考える時間が欲しいとだけ書き置きを残して家を出た。あの大きな家でぽつんと一人、孤独に苛まれるのはもういや…。だが、遠くの地にたどり着いて家を借りた翌日、信じられない光景に、ローリーの心臓が止まりそうになるー見覚えのある高級車が私道に停まり、中からロブが降りてきたのだ!
夫を亡くし、2歳の息子を女手一つで育てるジョージアは、クリスマスを前に車で実家に帰る途中、吹雪で立ち往生していた。渋滞を避けて入った脇道で、目の前に古い屋敷がかすんで見える。あれは、十代のころ恋人のセバスチャンとよく忍び込んだ空き家。生涯を誓い合ったのに、彼は二十歳を過ぎると人が変わったように我が事ばかりに夢中になり、彼女は寂しさから別れを告げたのだった。9年後の今、富豪となった彼は屋敷を買い取り、住み始めたと聞いている。ずっと疎遠にしていたけれど、このままでは息子が凍死してしまう!ジョージアはすがる思いで車の外に飛び出し、助けを求めたー思い出の屋敷から向けられるであろう、冷たい視線に怯えながら。
手元の食料はしわしわのじゃがいもだけ。赤ん坊のミルクもあと少し。クレアは妹の遺児を引き取って育てていたが、限界が近づいていた。仕事も辞めている今、もう赤ん坊の父親にすがるしかない。しかし、最後の頼みの綱だった富豪パトリックは、妹との関係を否定した。クレアはタクシー代を渡され、けんもほろろに追い払われてしまう。万策尽きて途方にくれていると、今度はパトリックが彼女を訪ねてきた。「赤ん坊は亡き兄の子だと思うから、いっしょに育てたい」と言って。ほほえむ彼を、クレアは出会った中でいちばんすてきな男性だと思った。でも子どもを育てるなら、パトリックに恋をして関係を複雑にはできない。裕福な彼は貧しいわたしを哀れんでいるだけ。誤解してはだめよ…。
ジュリアは秘書として、妻として、仕事で世界中を飛びまわる夫マックスを支え続けてきた。祝い事もせず、くる日もくる日も仕事に明け暮れて…。こんなの幸せじゃないと訴えても、夫は聞く耳を持たなかった。とうとう耐えきれずに家を出たあとで、身ごもっていることに気づいた。でも、子供はいらないと明言していた彼には打ち明けられない。1年後、ジュリアは独りで双子の赤ん坊を育てていたが、今でも本当はマックスが恋しくて、枕を濡らす夜があった。父を知らずに育つ娘たちの顔を見るたびに、悲しみで胸がつぶれる。そんな彼女の前に、ある日突然、怒りに満ちたマックスが現れた!
エミリアは奇跡のような妊娠を果たしたー不治の病で逝った夫が体外受精専門クリニックに遺した精子を使って。ところが、ある日、出向いたクリニックで取り違えの事実を告げられる。おなかにいる子の父親が亡夫ではなく、知人の大富豪サムだなんて!独りで不安な彼女は、田園地方にあるサムの屋敷にたどり着いた。クリニックの院長からともに説明を受けたあと、“困ったことがあったら、いつでも来ていい”と言ってくれていたから。優しい出迎えといたわりの言葉に、エミリアの気持ちは激しく揺れた。ハンサムで精悍なサムに強く抱きしめてほしいけれど、赤ちゃんと私に対して何の義務もない彼に迷惑はかけられないわ…。
イタリア屈指の名家の御曹司ジオ・ヴァルティエリと、そばにある農場の娘アニータは幼少期からの親友だ。5年前に恋人同士となるも、その後突然ジオから一方的に振られ、アニータはひどく傷ついた。それでも今なお、彼を愛し続けている。あるとき、ヴァルティエリ一族の休暇旅行の直前にジオが大怪我をし、アニータが身の回りの世話をすることになった。二人きりの時を過ごすうち、ふたたび熱い情熱の火花が散ったが、自分は不誠実で結婚には向かないと言うジオに、彼女は肩を落とした。やがてそれぞれの日常へ戻ったあと、予期せぬ妊娠が発覚する。義務感から求婚するジオに向かって、愛なき結婚はできないと、心で泣きながらアニータは告げるのだった…。