著者 : クレーグ・トマス
酷寒のシベリアの町ノヴィ・ウレンゴイは、外国企業が支配しマフィアが暗躍する無法地帯だ。すさみきったこの町で、アメリカ国籍の会社重役が射殺された。くすぶり続ける正義感を持てあます中年刑事ヴォロンツィエフ、愛娘を麻薬に奪われたゴロフ捜査官らは、はるかヴェトナム戦争に遡る大規模な陰謀を掘り起すことになった。記録的な雪嵐の中、凄絶なサバイバル・ゲームが始まった。
野獣のような鋭い感覚を持つ戦闘力抜群の男、元英情報部のはみ出し工作員ハイド。彼はかつて命を救ってくれたデリー機関員キャスが、インド政府に拘束されたことを知る。選挙運動中の現首相を巡る、麻薬疑惑の証拠を握ったらしい。欧米寄りの現政権に不利なこの醜聞を、英政府は嫌い、キャスは見殺しにされそうだ。ハイドは肉体と精神を極限まで酷使し、たった一人の闘いに挑む。
英情報機関SIS工作員ハイドたちは、大がかりな密輸事件を嗅ぎつけた。が、やっと見つけた手がかりを持つ男は変死体で発見され、送り込んだ密告屋も命を狙われた。糸を引くのは亡命した元MI5長官に違いないのだが、捜査は全く行き詰った。一方、アフリカで偶然墜落機を発見した元工作員が、夜襲を受け、妻を殺された。野獣の性を持つ男たちの、凄まじい戦いの幕が、今上がったー。
ハイドたちは遂に敵側コンピュータへの侵入に成功し、密輸事件の詳細が垣間見えた。あらゆる種類の兵器が武器商人たちへ流れて行く。積出しを阻止しようと現場へ向った彼らは、逆にSISの身分を奪われてしまった。亡命した元長官の手が動いているのだ。頼みの綱の元ボス、オーブリーは“病気療養中”。血と汗にまみれた男たちの死闘と、極限にまで盛り上がるサスペンスの連続。
極寒のタジク共和国山岳地帯から、必死の脱出行を続ける英国秘密工作員パトリック・ハイドは、ソ連軍用機の撃墜現場に出くわした。なぜかそこには顔見知りのCIA部員の姿も見えた。大がかりな陰謀の目撃者となったハイドは各国情報部の標的となる。孤立無援の彼は、かつて命を救った上司のオーブリーに助けを求めるがー。はち切れんばかりの迫力とサスペンスが溢れる待望の長編。
秘密工作員ハイドは謎の撃墜事件と、もう一つの旅客機墜落事故との関連に気づいた。陰謀の首謀者の手は、各国上層部にまで伸び、英情報組織の長オーブリーも完全に封じ込まれてしまった。彼の姪キャスリンは、罠にかかってFBIから追われる身だ。真相に近づいたハイドを守れるのは、今や彼自身のみ。心身を極限まで酷使するハイドの凄絶な孤軍奮闘ぶりを描く、冒険小説の決定版。
アメリカとNATOの依頼を受けた英国は、ソ連がバレンツ海に敷設したソナー網の位置をつかむために、画期的な対ソナー装置〈レパード〉を搭載した原子力潜水艦プロテウス号を出航させた。そんな折り、〈レパード〉を開発した科学者クインが突如失踪した。ソ連側に拉致された可能性は充分にある。SISの工作員ハイドは捜査を開始する。やがて重大な事態が起こった。プロテウス号がソ連の周到な罠に落ち、捕獲されたのだ。
プロテウス号は、バレンツ海に面したソ連の軍港に曳航された。機密を守るために、〈レパード〉を一刻も早く取り戻さなければならない。奪回作戦の指揮をとるSISの副長官オーブリーは、アメリカ海軍情報部のクラーク大佐をその軍港に潜入させる。そして彼を援助すべく自らも、連れ戻したクインと共に対潜哨戒機に乗って飛び立った。北の海に展開する息づまる奪回作戦の成否は?名手がスリリングに描く傑作冒険巨篇。
英米情報部の密命を帯びた米空軍パイロットのミッチェル・ガントは、ソ連が開発した最新鋭戦闘機ファイアフォックスの強奪に成功した。だが、追跡機との空中戦で被弾したファイアフォックスは燃料漏れを起こし、中立国フィンランドの凍結湖に不時着した。消えた最新鋭戦闘機を手中に収めるべく、必死の捜索活動を展開する英米とソ連。一方、ガントはソ連軍に捕えられ、尋問のためにモスクワのKGB研究所へと送られた。
KGBの研究所から脱走したガントは、CIAの女性工作員アンナに窮地を救われた。彼女は、ガント逮捕の指揮をとるプリャービン大佐の恋人だった。ガントとアンナは陸路でフィンランドとの国境へ向かうが、これを察知したプリャービンは単身で二人の後を追う。一方、英米よりも一歩遅れて最新鋭戦闘機の所在を突き止めたソ連側は、奪還部隊をフィンランドへ侵入させた…。傑作航空冒険小説『ファイアフォックス』の続篇。
SIS長官ケネス・オーブリーは二年ほど前からKGB副議長カプースティンとヨーロッパ各地で秘密裡に接触を重ねていた。カプースティンから亡命の希望がよせられ、二人はその条件や手はずを話し合っていたのだ。接触は組織を離れた個人的なもので、カプースティンはつねに独り、オーブリーのほうも工作員のハイドを随行させただけだった。ところが、話も煮詰まった冬のウィーンでの接触で、KGBの副議長は不意に亡命の意志を翻した。その直後、オーブリーはソ連のスパイとしてバビントン率いるM15に逮捕されてしまう。〈涙のしずく〉というコードネームを持つソ連のスパイである、というのが彼に着せられた容疑だった。あやういところで、逮捕をまぬがれた部下のハイドは、敵味方の両組織から命をねらわれながら、オーブリー逮捕の手懸りを求め、救出にのりだした。
オーブリー逮捕劇の真相とは?ウィーンのKGB駐在官を拉致したハイドは、その男から驚くべき人物の名前を聞き出した。ペトルーニン。オーブリーのために大失態を演じ、アフガニスタンに左遷されたKGBの大佐だ。今回の〈涙のしずく〉作戦はペトルーニンが考案した謀略だというのだ。KGB上層部は彼をアフガニスタンへ追いやりながらも、その計画だけは取り上げ、いまそれを実行に移したのだ。だが、計画の全貌は発案者のペトルーニン本人から聞き出さなければならない。ハイドは宿敵を求めて単身、戦乱のアフガニスタンへ飛んだ。繊細な野獣に変身した工作員ハイドが、駆け、吠え、襲い、逃げ、殺し、恐怖に身を震わせ、苦痛に身をよじり、ウィーン、アフガニスタン、チェコスロヴァキアと、地獄のなかを疾走する。