著者 : グスタフ・マイリンク
ワルプルギスの夜ワルプルギスの夜
マイリンクは幻想文学の巧みなテロリストである。(J・L・ボルヘス) 全15編が本邦初訳、ドイツ幻想小説派の最高峰マイリンクの1巻本作品集成。 『白いドミニコ僧』『ワルプルギスの夜』の2長篇小説のほか、 短篇8編とエッセイ5編を収録。 山尾悠子推薦 「百塔の街の迷宮の主、紙の王冠を戴く男。黄金の霧に踏み迷い、鏡や錬金術やドッペルゲンガーや両性具有者たちのイメージを辿っていけばひとは迷路の奥でその男に出逢う。出口も入口もなく、高い窓がひとつあるだけの寂しい部屋でかつてゴーレムに出逢ったことも忘れない。その顔は我々じしんの顔をしており、マイリンクの名は額にくっきり焦げ付いたひとつの指の痕のようだ。」
ゴーレムゴーレム
プラハのユダヤ人街に住む宝石細工師の「ぼく」は、ある日、謎の人物の訪問を受け、古い書物の補修を依頼されるが、客の帰ったあと、彼について何も思い出せないことに気づいて愕然とする。どうやらその男は33年ごとにこの街に出現するゴーレムらしいのだ。やがて「ぼく」の周辺では次々に奇怪な出来事が…。夢と現実が混淆する迷宮めいたこの物語は、第一次大戦さなかに出版され、熱狂的に読まれたドイツ幻想文学の名作である。
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