著者 : ジェラルド・シーモア
「赤い旅団」の血を引く極左テロリスト“狐”は、年上の女闘士フランカに激しい情熱を抱いていた。が、そのフランカは自分の目前で当局の手に陥ち、組織は解体する。“狐”は単身、フランカ奪回の機会を狙うが、その耳に〈英国人誘拐〉のニュースが飛び込んできた。イタリア当局は頻発する誘拐事件に眉を顰めるが、追い打ちをかけるように“狐”から一通の不敵な挑戦状が届いた…。
イギリス秘密情報局イラン担当主任マシュー・ファーニスが、ホメイニ体制下のイランに拉致された。現地工作員の情報を求める捜査官は、連日、過酷な拷問を彼に加える。一方イギリスでは、マシューが家族同様に付き合っていたイラン人青年チャーリー・エシュラクが、麻薬密輸で得た資金で武器を調達し、処刑された家族の復讐のため、単身イランへの潜入を計画していた…。
イギリス政府首脳を暗殺したIRA最高の狙撃手を抹殺せよ!イギリス首相の命令を受け、対テロ活動で数多くの勲功を挙げた元情報将校ハリーは、動乱の北アイルランドへ向かった。身分を偽装して独立闘争の拠点ベルファーストに潜入した彼は、次第に暗殺犯人へと迫っていく。一方、非情な闘争路線に幻滅しつつも、暗殺犯人は新たな任務を遂行しようとしていた…。二人の男の逃亡と追跡をスリリングに描く冒険サスペンス。
二人の仲間を失いつつも、アラブの若きテロリスト、ファーミは初めての暗殺任務をやり遂げる決意をした。標的は、イスラエルの原爆開発に携わる科学者ソカレフ。彼を追ってファーミはイギリスへ潜入、そこでIRAの闘士と合流して、着々と準備を進める。一方、暗殺計画を知ったイギリス側は、緊急警備体制をとり、射撃の名手ジミーをソカレフの護衛につけるが…。誇りを賭けた男たちの息詰まる闘いを描く冒険サスペンス。
対戦車ミサイルの権威をソ連から亡命させるため、ある男が英国情報局に招聘された。輝かしい軍歴を誇りながら、アイルランドの暴動鎮圧作戦で、少女を誤射し、すべてを剥奪され放逐された男ジョニー・ドノヒュー。アウトバーンを利用する周到な亡命計画が情報局の威信を賭けて立案され、ついに発令された。しかし再起を期して東側に潜入した彼をあまりに非情な事態が見舞う!
幼い頃に別れた父親から突然届いた一通の手紙。それがロンドンで平凡に暮らす息子ジャックの生活を一変させた。手紙によると、父は死刑囚として南アフリカ共和国の刑務所にいるという。いったい何が起きたのか?調査を開始したジャックは、やがて意外な事実を知る。父はSISの工作員で、南アフリカの反政府組織内で情報収集中、爆弾事件に関わり公安警察に逮捕されたのだった。SISが見殺しにすることを知ったジャックは、手製爆弾を使って独力で父を救う決意をするが…。反アパルトヘイト運動に揺れる南アフリカを舞台に描く冒険サスペンス。
犯人は頬にからすの足跡のような傷のあるアラブ人!テロで上司の大使とともに恋人の命まで奪われた青年外交官ホルトは、事件の唯一の目撃者として、英国情報部による報復工作に加わった。腕利きの狙撃手とともにテロリストのキャンプ地ベカー渓谷へ潜入して、恋人を殺した男を見つけ出し射殺するのだ。厳重な警戒網の中、撃てる弾丸はただ一発のみ。彼の復讐は成功するか。
ベルファストの朝のしじまを破って、1発に砲声が轟いた。IRAのマクナリーがロケット砲で治安判事ら3名を殺害したのだ。全ては計画通り運んだかに思えたが、英軍のフェリス中尉が逃走を目撃、その証言でマクナリーは治安当局に逮捕された。起訴されれば終身刑は必至。際限なきテロに倦み渡れた彼は、同情的なフェリス中尉に支えられ、全てを終らせる決意をする。IRA幹部の名を明かし、法廷で証言するのだ。だがIRAが裏切り者を見逃すわけはなかった!硝煙の街を舞台に、テロリストの孤独な戦いと、英軍将校との友情を描く力作サスペンス。