著者 : ジャック・ヒギンズ
IRA、CIAなど相手を問わず無差別に暗殺を繰り返す謎のテロ組織“一月三十日”。彼らの政治的信条ばかりか、テロの目的もいっさい不明であった。やがて、北アイルランド和平の鍵を握る要人警護の命が英国特別情報機関に下り、元国際テロリストのショーン・ディロンがその任務に就いた。一方、情報をつかんだ“一月三十日”は、ディロンの裏をかき凶弾を放つべく、密かに暗殺者を差し向けるが…痛快冒険サスペンス。
第二次大戦前夜、スエズ運河爆破を目論むヒトラーの元に、シバの神殿が発見されたとの報がもたらされた。同じころ、失踪した夫を捜しているイギリス人女性の依頼を受け、アメリカ人考古学者ギャヴィンもまた、ローマ時代の古文書を手掛かりに幻の神殿を目指していた。だが、彼の行く手を阻むのは、砂漠の苛酷な自然環境だけではなかった…ナチスの恐るべき陰謀逆巻く南アラビアの熱砂に展開する、灼熱の冒険スリラー。
第二次大戦中、毛沢東とチャーチルの間で、香港租借期限の百年延長を記した密約書が調印されようとしていた。がだ書類をのせた飛行機が墜落、密約書は行方不明に。時は流れ1993年、密約書の存在を知ったマフィアは、利益を守るために香港返還を阻止せんと書類を探し始める。その企てを阻むため英情報機関の長ファーガスンは元テロリストのショーン・ディロンとともに、密約書が眠るというスコットランドの城にのりこんだ。
1985年、熾烈を極める北アイルランド紛争のさなか、王党派の闘士マイケル・ライアンは、軍資金獲得のため、大胆不敵な計画を立案した。アイルランド海をはさんで対岸のイングランド湖水地方で、五千万ポンドの金塊を運ぶ輸送車を襲撃し、海峡を越えて北アイルランドへ持ち帰ろうというのだ。マイケルは、姪のキャサリンとともに、腕の立つ船員キーオーを仲間に引き入れ、着々と計画を進める。だが、キーオーは、じつは対立するIRAのスパイだったのだ。さらに、海峡を越えるために雇った船員たちも金塊の横取りを狙い、味方のはずの王党派も横槍を入れようとする。四面楚歌の状況で、しかしマイケルの作戦は、見事成功したかに見えた…。そして10年後、行方不明になっていた金塊が、ふとしたきっかけで表舞台に再浮上した。現在では一億ポンドの価値を持つ金塊をめぐって、10年ぶりに帰国したマイケル、王党派、IRA、さらにはアメリカのマフィアまでが争奪戦に乗り出してくる。事態を憂慮した英国は、グループ・フォアのファーガスン准将に、金塊回収を命じた。だが、指令を受けたトラブル解決要員ショーン・ディロンには、誰も予想もしていなかった秘密があったのだ!冒険小説の王者ヒギンズが描く、裏切りと謀略の応酬。息つく間もない騙し合いのすえ、最後に笑うのは誰か。
アラブ人テロリスト、IRAのメンバー、KGB部員、CIAのエージェントと、次々に無差別な暗殺を重ねる謎のテロ・グループ「1月30日」-政治的信条ばかりかテロの目的もいっさい不明であり、唯一わかっているのは、暗殺の凶器に同一のベレッタを使用していることのみ。対応に苦慮した英国首相は、ファーガスン准将率いる英国特別情報機関「グループ・フォア」に指令を下した。同じころ、ファーガスンの右腕である元国際テロリストのショーン・ディロンは、アイルランドのプロテスタント系過激派組織を壊滅すべく、ベルファストに潜入していた。だが、罠を承知で乗りこんだ敵地で、思いもかけぬ反撃を受けてしまう。それを救ったのが、突然オートバイに乗って現われた謎のライダーだった。しかも驚くべきことに、そのライダーは「1月30日」のメンバーであることが判明する。いったい、彼らは何の目的でディロンを救ったのか?やがて、「1月30日」の次なる標的がアメリカ合衆国上院議員であるとの情報が入り、ディロンたちはホワイトハウスへと赴くが…。
1939年、砂漠で碑文の発掘を続けていたドイツ人考古学者ムラーは、ついにシバの神殿の発見に成功した。第二次世界大戦の勃発を目前にひかえ、折りしもスエズ運河の破壊をたくらんでいたヒトラーは、神殿を破壊工作の拠点とするべく、ムラーをベルリンへ召喚する。一方そのころ、アデン湾に臨む港町ダーレインをねじろにするアメリカ人船長ギャヴィンのもとを、イギリス人の女ルースが訪ねてくる。神殿をさがしもとめて行方不明になった夫を捜すため、協力してくれないかというのだ。かくして砂漠へ向かった彼らの行く手では、世界を揺るがすナチス・ドイツの陰謀が着々と進行していた。
1944年、重慶。毛沢東とチャーチルの間にかわされる重大な密約書を携えた陸軍少佐キャンベルを乗せ、ダコタは飛び立った。共産軍への英軍の協力の見返りとして、1997年までの香港の租借期限を百年延長する、というのだ。ところが、ダコタは撃墜されて炎上、密約書は行方不明となった。時は流れ、香港返還を目前にして、マフィアが「重慶密約」の存在を知った。香港に多額の資本を投下している組織にとって、返還が延びるのは願ってもないことだ。くだんの密約書は、キャンベルの故郷スコットランドの一族の城に埋もれているらしい。マフィアはドンの姪の息子で実業家のモーガンを、捜索のため城に送りこんだ。一方、その動きをつかんだ英情報機関グループ・フォアの長ファーガスンは、自らスコットランドへ赴く。そして、モーガンの義理の娘アスタに元IRAテロリストのショーン・ディロンを接近させた。やがて、二人の間には危険な火花が散りはじめる…。誇り高きハイランドの地に繰り広げられる、会心の冒険サスペンス。
1944年春、連合軍の反攻を前にして、ロンメル将軍はドイツ軍の防衛計画会議をフランスの古城でひらこうとしていた。イギリス特殊作戦部のマンロゥ准将は、城主の姪アンヌーマリーに会議を探らせようと企てるが、彼女を不慮の事故が襲った。そこでアンヌーマリーの双生児の妹ジュヌヴィエーヴが姉になりすまし、フランスに潜入する。だが、古城で彼女を待ちうけていたのは、恐るべき謀略の罠だった…傑作戦争冒険小説。
カリブ海に浮かぶヴァージン諸島。もっとも危険な暗礁といわれるサンダー・ポイントでダイビングをしていたベイカーは、沈没して珊瑚に覆われたUボートを発見した艦内から持ち出した艦長の日記を読んで、ベイカーは驚愕した。なんと、そのUボートはナチの最高幹部の一人マルティン・ボルマンを南米へ脱出させる途中だったというのだ。しかも、当時の英米のナチ支援者の名簿と、ウィンザー公がナチに協力を約した秘密文書が積まれているらしい。これらの書類が明るみに出るようなことがあれば、英国にとっては一大スキャンダルとなる。ベイカーの知らせで、ファーガスン准将ひきいる英国情報機関グループ・フォアが書類の回収に乗り出した。ところが、ベイカーが交通事故で死亡したためUボートの沈没場所がわからなくなった上に、書類のありかを探ろうとする別のグループが存在することが判明した。そこで、ファーガスンは思い切った策に出た。元IRAのテロリストで熟練のダイバーでもあるショーン・ディロンを、回収作戦の実行者としてヴァージン諸島に送り込んだのである。Uボートに眠る秘密をカリブの青い海に探る、会心の冒険サスペンス。
「サダム・フセインの力を世界に示せ」イラクのフセイン大統領の命を受けた大富豪アルーンは、湾岸戦争のさなか、パリで一人の男に接触した。男の名はショーン・ディロン。元IRAのメンバーで、変装を得意とする名うての国際テロリストである。多額の報酬と引き換えにディロンは仕事を受諾、標的を訪仏中のサッチャーに定めるが、密告により暗殺は失敗した。密告者の情報から、暗殺を図った犯人がIRA関係者であることを知ったフランス情報部DGSEのエルニュ大佐と、イギリス国防情報部のファーガスン准将は、元IRAの闘士マーティン・ブロスナンに協力を要請する。ブロスナンは犯人がディロンだと断言するが、自ら行動することは拒否した。ディロンとの間には浅からぬ因縁があったが、今は硝煙の世界と訣別していたからだ。だが、やがて痛ましい事件が起き、彼は銃をとりディロンの行方を追い始める。一方、ディロンは新たな計画を進めていた。標的は英国首相官邸。戦時閣議が開かれているその官邸を迫撃砲で攻撃し、メージャー首相と閣僚を抹殺しようというのだ。だが、彼の背後には、ブロスナンの追跡の手が確実に迫っていた…。『テロリストに薔薇を』で鮮烈な印象を残したマーティン・ブロスナンが再び登場、冷酷なテロリストと宿命の対決を繰りひろげる。湾岸戦争中に実際に起きた英国首相官邸砲撃事件を題材に描く、白熱の冒険アクション。
ノルマンディ上陸作戦前夜、Dデイの最高機密を握る連合軍将校が演習中に行方不明となった。やがて、彼がナチ占領下のジヤージイ島に漂着したことが判明した。機密漏洩を恐れる連合軍首脳部は、英国陸軍大佐マーティノゥと島出身の女性セアラを救出に差し向ける。だが、身分を偽装して島へ潜入した二人を待っていたのは、驚くべき謀略を心に秘めた“砂漠の狐”ロンメル元帥との出会いだった。著者会心の戦争冒険小説。
KGBがアイルランドに送り込んだ休眠工作員ケリイ。その任務は、テロによって英国とIRAとの和平の動きを妨害し、紛争を激化させることだった。偶然入手した情報から彼の存在を知った英国情報部は、元IRAの闘士デヴリンの手を借りて、その正体究明と抹殺に乗り出す。だが、ケリイは追及を察知して逃走した。次なる暗殺を阻止すべく、デヴリンは必死の追撃を開始するが…。硝煙の世界に生きる男たちの姿を鮮烈に描く。
ヴェトナム戦争の英雄エリスは、やっと帰国したイギリスの人里離れた場所で孤独に暮らしていた。そんな彼の前に、突然自動小銃を持ったヴェトコン部隊が姿を現わし、有無をいわさず襲ってくる。わけもわからずショット・ガンで応戦するエリス。やがて意識を失った彼が次に目を覚ましたとき、隣りの部屋では彼の恋人と、命の恩人でもある親友が死んでいた…。どちらも彼のショット・ガンで頭を吹き飛ばされて。一体何が起きたのか?
戦時中、仲間を敵軍に売ったのはだれだ?-頭部の負傷が原因で失われていた記憶が7年ぶりに戻ったとき、マーティン・シェインの胸中に軍役中の忌まわしい謎がよみがえった。裏切った可能性のある人物は3名。真犯人を突き止めてその命を奪うべく、シェインは雨と霧に煙る街で捜査を開始する。が、行手には恐るべき奸計が待ち受けていた。冒険小説の第一人者が放つ秀逸なサスペンス。
KGBの命を受けて破壊活動を繰り返すテロリスト、フランク・バリイ。彼の暗殺を決意した英国情報部は、その実行者にバリイのIRA時代の戦友ブロスナンを選ぶ。だが彼はフランスの警官射殺の罪により、絶海の孤島で終身刑に服していた。釈放を条件に暗殺を請け負わせるべく、情報部IRAを引退したリーアム・デヴリンにブロスナンの説得を依頼するが…。『鷲は舞い降りた』のデヴリンが再び活躍するヒギンズの傑作長篇。
1949年英国。作家志望の若者オリヴァー・ショーは、除隊して故郷の田舎町へ帰ってきた。戦後社会からとり残され、前の保険会社の勤めには乗り気がしないオリヴァーは、女たちと寝ることに憧れと情熱を傾ける。年上の友人ジェイクに助言をあおぎながら、地元のダンスホールで出会う女たちに夢と快楽を追い求めるうち、別れや失敗を経てオリヴァーもじょじょに成長していく。学校教師の職を見つけ、すさんだ少年たちに手こずりつつ、同僚の女教師と大胆な情事を楽しんだり、人妻とつかのまの恋をしたり…。やがて、ヘミングウェイを目標としていた彼に作家としての転機が訪れる。英国冒険小説の巨匠が、ノスタルジックに、そして、時にポルノグラフィックに描き上げる自伝的青春小説。