著者 : ジョーゼフ・エーミエル
刑事専門の弁護士ダンはフィラデルフィアに法律事務所を開いている。ダンはマラと別れた日に、スーザンと出逢い、いつしか孤独なふたりは恋に落ちていた。ヘラルド新聞の社主ピーターは自社の売却を考え、妻スーザンの強い反対にあい彼女と別居、共有財産とひとり娘の養育権までも奪おうと妻を破滅させるためにあらゆる手段を用いた。が、ある日、泥酔して階段から落ち死亡した…。
ピーターの死は他殺であると、一族のボルター家の人々は、殺人犯として妻のスーザンを告発した。ヘラルド新聞の女社主になったのも束の間、スーザンはダンに弁護を依頼、ダンは一瞬、躊躇したが彼女の弁護を引き受けた。恋人でもあるスーザンの無罪を立証するための調査をしていくうちに、ボルター家のスキャンダルが暴かれていく。そしていま、思いもよらぬ真実が明るみに出る…。
ラルフ・ベア(36歳)は、マンハッタンを中心にビルを幾つも建ててきた。富と名声と美貌の恋人アマンダに支えられて華麗な人生を送る彼は、いま世界最高の住空間ベア・センターをニューヨークに建設しようとしている。それは、祖父からのベア家の夢である。そんな折、突然の父親の過去の告白を受け、父の友人の娘ゲイルとの2年間の結婚を懇願された。彼は術もなく承諾したが…。
ゲイルの父親は20年間ラルフの父親の罪を被り身代わりとなって服役した。離婚の際には莫大な財産がゲイルに入るとはいえ、ふたりの偽りの結婚生活は、憎しみ以外の何物でもなかった。しかし、ニューヨーク市長の陰謀に嵌められながらもベア・センター建設のために奔走するラルフの情熱と誠実さに、いつしかゲイルは彼を愛し始め、ラルフもまた彼女の中に真実の妻をみていた…。
ユダヤ系の巨大財閥クラウネンゴールド家の養女として育てられたデボラ。一族の長サミュエルは、後継者たるべき息子レスリーの経営能力を疑い、この孫娘に莫大な遺産を相続させて銀行家として育てようと決意した。しかし、サミュエルの死後、レスリーの策略によって、デボラはその権利を奪われてしまう。怒りと悲しみに包まれたデボラは復讐に燃え、英国からニューヨークへ渡った。
生き馬の目を抜く大都会ニューヨークでの苦難を経て、金の投機で巨額の利益をあげるという幸運に恵まれたデボラは、保険会社を買収し、国際金融界への足がかりをつかんだ。アメリカ金融界の大物たちの策謀、ふたりの男との灼熱の恋ー。波乱は絶え間なくデボラを揺り動かすが、養父レスリーへの復讐は着実に成就へと向かっていた。そんな彼女に、ある日驚くべき事実が知らされる。