著者 : チョ・ヘジン
光の護衛光の護衛
著者チョ・ヘジンが二〇一三年から二〇一六年までに発表した九つの短篇を収録した本書。傷つき忘却される人びとを記憶し続けなければならないという作家の切実な思いは、優しくも力強い言葉に乗って誰かの希望となり、強者に押し込められた孤独から、救う者と救われる者を護り照らす、ぬくもりに満ちた一筋の光となるだろう。
天使たちの都市天使たちの都市
「韓国人男性が女性にやさしいのは知ってるわ。韓国ドラマを毎日観てるから。これからはうちの姉も韓国人よね。だから韓国の男の人が韓国人女性に接するように、同じように大事にしてあげてね。お義兄さんに望むのはそれだけ」米国に養子に出され、十五年ぶりに一時帰国した十九歳の“きみ”、結婚移民としてウズベキスタンから渡韓した高麗人三世の“彼女”、父の家庭内暴力の跡をからだじゅうに残している“わたし”-。癒えない傷を抱えた人の心を繊細に描き、世代を超えて支持される七篇の中短篇。
かけがえのない心かけがえのない心
幼少期、海外養子縁組に出されたナナは、フランスで役者兼劇作家として暮らす。そんな彼女に突然、人生を変える2つの知らせが届く。別れた恋人との間に子どもを妊娠したことと、韓国から来た、自分の人生を追ったドキュメンタリー映画への出演依頼と。生みの親を知らないナナは、生まれてくる子どものためにも自分が“誰なのか”を見つけようとソウルへ向かう。そして、思いもしなかった人たちとの出会いから、35年前、駅に捨てられた暗い記憶の糸が少しずつほぐれていき…。海外へ養子に出された子どもたち、米軍の基地村で生きた女性たち…現代韓国の歴史の中でなきものとされてきた人たちにひと筋の光を差し込む秀作長編小説。第27回大山文学賞受賞作。
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