著者 : デイヴィッド・アーロン
ウォール街のM&Aスペシャリスト、ライマンに、全米一の巨大メディア買収の話が持ちこまれた。相手はヨーロッパのマスメディアを一手に握る謎の人物、ブレッソン。莫大な手数料と、アメリカ人の価値観に影響を与え得るメディアを外国人に渡していいかという愛国心の間で、ライマンの心は揺れ動く。東西緊張緩和後の情報活動を扱って、新しいスパイ小説の方向を示す注目作。
冷戦後もソ連経済を監視すべきだという情報員ハイジの意見は、無視されたままだった。部下の死によって疑惑を深めたライマンは、彼女と協力してブレッソンの過去を探るが、家も家族も持たず、資金源さえ明かそうとしない男の謎は深まるばかりだった。一方、買収をしかけられたニューズ・ワールドウィーク社側は、アメリカのメディアが乗っ取られる危機感から結束し、反撃に出たー。
ホワイトハウスに恐るべき脅迫電話がかかってきた。自分達は核爆弾を盗み出した、指定の時間内に合衆国がヨーロッパから核兵器を引き揚げねば、その爆弾でヨーロッパの一都市を破壊するというのだ。大統領はこの危機打開の総責任者に元CIA局員のゴードンを指名、ゴードンは犯人を追ってヨーロッパへ飛ぶ。また、事態を知ったソ連は異例の協力を申し出、KGBの情報員を派遣した。刻々と迫る爆破時刻ー果たして破局は回避なるか?
イタリアからフランス、ドイツへとゴードン達は必死の追跡をつづけた。しかし、常に犯人の方が一歩先んじていた。一方、米ソ双方の上層部内ではこの非常事態をめぐって各人の野心、思惑、相手国への不信が錯綜し、両国とも徐々に軍事警戒態勢を強化、ついには核戦争勃発の時が目前に…!以前ホワイトハウスの高官だった著者がみずからの体験と最新の軍事情報を駆使して描き上げ、全米で轟々たる話題を呼んだ超大型サスペンス!