著者 : トーン・テレヘン
リスは夏のはじめについて考えたい。クマは二度とケーキを食べたくない。スズメは冷静さを身につけたい。アリはリスと真剣に話したい。イカはだれかに招かれたい。カブトムシはみんな陰気になってほしい。マンモスは絶滅をとりやめたい。カメはカタツムリにやさしくされたい。トカゲは目立ちたい。ザリガニは最悪なことに見舞われたい。カゲロウは明日話したい。ハリネズミはなにもほしくない…。63のどうぶつそれぞれに、まったくばらばらの、奇妙で切実な願いがある。その奇妙さが鏡となって、わたしたちの心をうつしだす。『ハリネズミの願い』『きげんのいいリス』『キリギリスのしあわせ』につづく、トーン・テレヘンの“どうぶつ物語”第4弾。
森のはずれのキリギリスの店。窓には、大きな文字で、こう書かれていた。なんでもあります(太陽と月と星以外)。親切で働きもののキリギリスの店には、今日もまたどうぶつたちがやってくる。助け舟を出してくれるテーブル、なくならないケーキ、着替え用のうろこや羽毛、誕生会の“スピーチ”、ほんものの“絶望”、あと一日の“時間”、新しい“句読点”…。遠方の客のためにはどこへでも配達に行くが、“悲しみ”は少しずつしか売らない。たくさんだと、それは“痛み”になるからだ。だれのことも失望させたくないキリギリスは、なんでも取り揃えてどうぶつたちを迎える。ときにはいっしょにお茶をのみ、ときにはひとりでダンスをしてー。『ハリネズミの願い』『きげんのいいリス』につづく大人のための“どうぶつ物語”第三弾。
高い木に家を構える思慮深いリス君、蜜が大好きな奥ゆかしいアリさん、ダンスと木登りを愛する象君、蜂蜜ケーキが好きな熊君、バラの木の下の隠れ家に住む恥ずかしがりのアリマキ君…。一癖も二癖もある動物たちが繰り広げるオフビートな物語。『ハリネズミの願い』の著者が贈る、自由で喜びに満ちたユートピア。
ブナの樹のうえに暮らす、心やさしく忘れっぽく、きげんのいいリス。知っていること考えることが多すぎて、頭の重みに耐えかねているアリ。旅に出たはずのアリは、なにかと理由をつけてはリスのそばにもどってくる。リスの家に始終やってきてあちこち壊す夢みがちなゾウ。誕生日がだいなしになって黒いなみだを流すイカ。小さい家に住んで小さいことばかり考えているカブトムシ。自分が変かどうかいつも気にしているタコ。そして、リスの背中におんぶして、小さな冒険にふみだすハリネズミ…。不器用で大まじめ、悩めるどうぶつたちが語りだす、テレヘン・ワールド!『ハリネズミの願い』の原点、幻の名作の完訳新版!
ロシア革命の翌年、サンクトペテルブルクからオランダに逃れ、痛ましくも滑稽なロシアをめぐる話を“ぼく”に語りつづけた祖父。鎮魂の思いがこめられた、宝箱のような掌篇小説集。
ある日、自分のハリが大嫌いで、ほかのどうぶつたちとうまくつきあえないハリネズミが、誰かを家に招待しようと思いたつ。さっそく手紙を書きはじめるが、もしも○○が訪ねてきたら、と想像すると、とたんに不安に襲われて、手紙を送る勇気が出ない。クマがきたら?ヒキガエルがきたら?ゾウがきたら?フクロウがきたら?-さまざまなどうぶつたちのオソロシイ訪問が、孤独なハリネズミの頭のなかで繰り広げられる。笑いながら、身につまされながら、やがて祈りながら読んでいくと、とうとうさいごに…。オランダでもっとも敬愛される作家による、臆病で気むずかしいあなたのための物語。