著者 : ドリアン助川
誰にだって、もう一度会いたい人がいるーー。四十年ぶりに、高校時代を過ごした淡路島を訪れた圭介。かつて打ち込んだ人形浄瑠璃部の仲間の思いがけない歓迎と恩師の死を機に、島を去る原因となった出来事と向き合い始める。それは運命に抗い、恋に溺れ、島を駆けた夜のことだったーー。ベストセラー『あん』の著者が贈る、名もなき人々の人生を力強く肯定する最新長篇。
ある日、世界から太陽が消えた。芳枝は一人息子の健太郎を失い、暗い家に閉じこもっていた。だが、その扉を叩く見知らぬ男の子があらわれる。その子は太陽を探しに行くのだというーー。「あなたは、だれなの?」闇の中で子どもが大人を導いていく。物語の本源に迫る重層的な語りの構造が、闇の底に驚くべき結末を準備する。代表作『あん』が23言語で翻訳され、世界のリテラシーエージェントが注目するドリアン助川の希望の書。
動物の生態に哲学のひとさじ。 映画化された世界的ベストセラー『あん』のドリアン助川、構想50年の渾身作! 動物の叫びが心を揺さぶり、涙が止まらない21の物語。 哲学の入門書よりやさしく、感動的なストーリー。 どんぐりの落下と発芽から「ここに在る」ことを問うリスの青年。 衰弱した弟との「間柄」から、ニワトリを襲うキツネのお姉さん。 洞窟から光の世界へ飛び出し、「存在の本質」を探すコウモリの男子。 土を掘ってミミズを食べる毎日で、「限界状況」に陥ったモグラのおじさん。 日本や南米の生き物が見た「世界」とは? ベストセラー『あん』の作家が描いたのは、動物の生態に哲学のひとさじを加えた物語21篇。 その中で動物のつぶやき、ため息、嘆き、叫びに出遭ったとき、私たち人間の心は揺れ動き、涙があふれ、明日を「生きる」意味や理由が見えてくる! ●私たちの心に突き刺さる動物たちのつぶやき サル「ボスになんかなるものじゃない。なんでこんなに苦しいんだ」 アリクイ「心は進化しないのですか?」 ナマケモノ「彼女と僕は同じ世界を見ているのだろうか」 ジャガー「私たちを苦しめるのは、思い出だよ」 バク「ママ、なんで僕のここはこんなに大きくなるの?」 ペンギン「天よ、いったいどうして、僕らにこんな苦しみを与えるのですか?」 ●巻頭スペシャル口絵 多和田葉子の小説の装画・挿画で知られる溝上幾久子による、動物たちの銅版画作品をカラー掲載。 【目次】 第1話 クマ少年と眼差し 第2話 キツネのお姉さん 第3話 確かなリスの不確かさ 第4話 ボスも木から落ちる 第5話 一本角の選択 第6話 コウモリの倒置君 第7話 クジラのお母さん 第8話 モグラの限界状況 第9話 ウリ坊の恥 第10話 絶滅危惧種 第11話 スローな微笑み 第12話 最後の思い出 第13話 バクの茫漠たる夢 第14話 転がる小さな禅僧 第15話 ペロリン君の進化 第16話 おじさんにできること 第17話 ピクーニャとコンドル 第18話 イグアナ会議 第19話 ゾウガメの時間 第20話 飛べない理由 第21話 対話する鳥(あとがきに代えて) 【著者略歴】 ドリアン助川(どりあん・すけがわ) 作家、歌手。明治学院大学国際学部教授。1962年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科を卒業後、1990年にバンド「叫ぶ詩人の会」を結成。解散後、執筆活動を開始。2013年出版の小説『あん』(ポプラ社)は映画化に加え、22言語に翻訳され、フランスの「DOMITYS文学賞」「読者による文庫本大賞」の二冠に。『線量計と奥の細道』(集英社、日本エッセイスト・クラブ賞受賞)、『新宿の猫』(ポプラ社)、『水辺のブッダ』(小学館)など著書多数。
「なにかお困りの方、メールをくださいーー」 悩みを抱える人の元に出かけていって、おたすけ料理をこしらえて解決へと導く謎の男“麦わらさん”。相談料はたったの290円。男の目的は?金額にはどんな意味があるのか?優しくて可笑しくて、少し哲学が入った11篇の連作短編小説。 第一話「世田谷区 豪徳寺」 第二話「伊豆 城ヶ崎」 第三話「池袋 平和通り」 第四話「上野 不忍池」 第五話「神戸 高架下」 第六話「東京 三宅島」 第七話「長野 小布施」 第八話「米国 ニューヨーク」 第九話「岩手 イーハトーブ」 第十話「奈良 ならまち」 第十一話「逗子 小坪漁港」
日没寸前の川沿いに、不思議なポストがあらわれる。それはあらゆる人間の願いや苦しみを受け止めるポストだったーー。ポストの管理人である「私」は悩みを寄せる人々に返事の手紙を書き続ける、まるでなにかの贖罪のように。励ます側である「私」こそ、じつは出口のない苦悩にあえぐ傷だらけの人間だったのだーー。ぎりぎりからの反転、呆然とする耀き。様々な境遇にいる人たちの手紙によって織りなされるこの物語は、世界12言語に翻訳され感動を呼んだ『あん』の著者のもうひとつの原点である。 目次 1 悩みの手紙 2 人の国 3 河の街 4 樹の街 5 命の本流 6 チャンパの花
ベストセラー『あん』著者新時代の感動長篇 多摩川の河川敷で、仲間のホームレスたちと共に生活する望太。一度は死を選びながらも、彼らに救われ、やるせない思いを抱えながら生きている。 そこからさほど遠くない街で、女子高生の絵里は、世の中に対する怒りとむなしさを抱えて暮らしていた。家族の中での疎外感に耐えられなくなったころ、ある男と出会い、事件に巻き込まれてしまう。 そしてふたりの過去が次第に明かされてゆく・・・。 誰の人生にも、冷酷な人間の心の闇に触れて絶望するときがあれば、人と出会い、深く語り通じ合い、光に満ちた美しい瞬間もある。 世の中の片隅で懸命に生きる人々の傍らに立つドリアン助川が描く、ふたりの”生きる”物語。 河瀬直美監督、樹木希林・永瀬正敏主演で映画化もされ、世界12言語で翻訳出版され国内外でベストセラーとなっている『あん』の著者の、新時代最初の感動長篇!
構成作家の卵である「ボク」は明日の見えない闇の中でもがいていた。そんなある夜、ぶらりと入った新宿の小さな居酒屋で、野良猫をかわいがる「夢ちゃん」という女性店員に出会う。客には不愛想だが不思議な優しさを秘めた夢ちゃんに「ボク」はしだいに惹かれていく。ふたりは猫についての秘密を分け合い、大切な約束をするのだがーー。生きづらさを抱えた命が伝え合う、名もなき星のような物語。
小学生の陽一は、傷ついたカラスの幼鳥を「ジョンソン」と名付け、母と暮らす団地でこっそり飼い始める。次第に元気になっていくジョンソン。だが、「飼ってはならない鳥」はやがて、人間たちの過酷な仕打ちを受けることにーー。少年の素朴な生命愛が胸を打つ現代の神話。
「ほんとうにたいせつなものは目にみえない」 映画「あん」の原作者が訳す、永遠の名作。 ドリアン助川さんが撮影した、「星の王子さまとサン=テグジュペリ像」ほか、撮りおろし写真も掲載! 原文には忠実に、しかしまったく新しい冒険心をもって『星の王子さま』を全訳しました。 サン=テグジュペリ生誕の地リヨンや、彼が撃墜されたマルセイユ沖の海を訪れた旅の記録。また、母親に宛てた最後の手紙の全訳など、訳者あとがきも大充実です。ぜひ、ご覧になって下さい。 ドリアン助川
中中央線高円寺駅、南口商店街。近くにできた全国チェーンの居酒屋におされ、治彦の店はつぶれかけている。カウンターだけの小さな店に半年ぶりに娘が顔を見せた。何があったのか別人のように髪を染め、「いっしょに釣りにいきたい」という。離れて暮らす父と娘のぎりぎりの愛情を描いた「花鯛」。しゃべりつづける「やっかいな子」と売れない役者の友情(「オニカサゴ」など、ワケあって釣りに出る人たちの胸があつくなる四篇。 収録作品:「花鯛」「オニカサゴ」「寒平目」「真鯛」
アルバイトで南の島を訪れた涼介は、「ピンザ」と呼ばれるヤギの乳でチーズをつくる夢を追い始める。だが、その挑戦は島のタブーにふれ、男衆の怒りを買ってしまうー。敗北感にまみれたひとりの青年が、悪戦苦闘の果てに生存への突破口を見いだしていく、感動の力作長編!
私は母国より、あなたを選んだ……大ヒット「あん」の著者が描く日韓のロミオとジュリエット! 孤独の街で、二人は出逢った。ミュージシャンとして成功を夢見る拓人と脚本家となり夢の物語を紡ごうとするユナ。互いの心の隙間を埋め合った二人は、日本人と韓国人の障壁も乗り越え世界を共有していく。だが拓人の道が開けかけた時、運命の日が訪れたーー9・11 を体験した作家が描く、心がちぎれるほど切ないラブストーリー。
映画撮影所の小道具係を辞めようかと悩む隆之さん、客の少ない食堂で奮闘する継治さん、月明かりのアパートで母をしのぶ良美さん…。多摩川の岸辺の街を舞台にくりひろげられる人生のドラマ。「黒猫のミーコ」ほか、名もなき人びとの輝ける瞬間が胸を打つ連作短篇集。
斡旋屋に島の水道工事のアルバイトとして送り込まれた若者が、島のヤギから搾乳しチーズを作るという、無謀な夢にとりつかれる。熟成の困難、島のタブー…すべてを越え「至高のチーズ」はできるのか?万象を呑む嵐のような長篇小説。
本書は世界中から愛されている名作『星の王子さま』の中から大切な人に心をこめて贈りたい素敵な言葉を選びました。扉にはメッセージを書き込める、カードがついています。心にいる大切な人へ。いつまでも輝きつづける言葉の宝石。