著者 : ドロシー・L・セイヤーズ
アガサ・クリスティらと、1920〜30年代の“探偵小説の黄金期”を牽引した女性作家ドロシー・L・セイヤーズー探偵らしさと男らしさの狭間で存在の不安に揺れ動く男性探偵の危うさに焦点を当てた、“ピーター・ウィムジィ卿”シリーズの重要な転換期となる奇妙な探偵小説。
〈ピーター・ウィムジー卿〉シリーズの第一短編集” Lord Peter Views the Body”を新訳。英国ドロシー・L・セイヤーズ協会公認推薦翻訳書! 鋼の指を持つ男の忌まわしき物語(ヒストリー) 口吻をめぐる興奮の奇譚 メリエイガー伯父の遺書をめぐる魅惑の難題 瓢箪から出た駒をめぐる途方もなき怪談 面皮を剥ぐ婆(ジョーカー)にまつわる理屈無視の逸話 不和の種をめぐる卑しき泣き笑い劇 逃げる足音が絡んだ恨み話 嗜好の問題をめぐる酒飲み相手の一件 竜頭に関する学術探究譚 盗まれた胃袋をめぐる釣り人の一口噺 顔なき男をめぐる解けない謎 訳者あとがき 解説 塚田よしと(クラシック・ミステリ愛好家)
ドロシー・L・セイヤーズの傑作短編を日本独自の編纂で集成! 英国ドロシー・L・セイヤーズ協会より「収録作品は選りすぐり、この一書を強くお勧めします」(ドロシー・L・セイヤーズ協会事務局長 ジャスミン・シメオネ)との良質推薦を得た一冊! 推薦の弁 ジャスミン・シメオネ アリババの呪文 毒入りダウ'08年物ワイン 香水を追跡する マヘル・シェラル・ハシュバズ ゴールを狙い撃ち ただ同然で 偽りの振り玉 噴水の戯れ 牛乳瓶 板ばさみ 屋根を越えた矢 ネブカドネザル バッド氏の霊感 訳者あとがき
クリスティと並び称されるミステリの女王セイヤーズが創造したピーター・ウィムジイ卿は、従僕を連れた優雅な青年貴族として世に出たのち、作家ハリエット・ヴェインとの大恋愛を経て人間的に大きく成長、古今の名探偵の中でも屈指の魅力的な人物となった。本書はその貴族探偵の活躍する中短編から「不和の種、小さな村のメロドラマ」等、代表的な秀作7編を選んだ作品集である。
スコットランドの長閑な田舎町で嫌われ者の画家の死体が発見された。画業に夢中になって崖から転落したとおぼしき状況だったが、ピーター卿はこれが巧妙な擬装殺人であることを看破する。怪しげな六人の容疑者から貴族探偵が名指すのは誰? 大家の風格を帯び始めたミステリの女王が縦横無尽に紡ぎ出す本格探偵小説の醍醐味。後期の劈頭をなす、英国黄金時代の薫り豊かな第六弾!
裁判官による説示。被告人ハリエット・ヴェインは恋人の態度に激昂、袂を分かった。最後の会見も不調に終わったが、直後、恋人が激しい嘔吐に見舞われ、帰らぬ人となる。医師の見立ては急性胃炎。だが解剖の結果、遺体からは砒素が検出された。被告人は偽名で砒素を購入しており、動機と機会の両面から起訴されるに至る…。ピーター卿が圧倒的な不利を覆さんと立ち上がる第五弾。
ピーター・ウィムジイ卿の兄ジェラルドが殺人容疑で逮捕された。しかも、被害者は妹メアリの婚約者だという。お家の大事にピーター卿は悲劇の舞台へと駆けつけたが、待っていたのは、家族の証言すら信じることができない雲を掴むような事件の状況だった…!兄の無実を証明すべく東奔西走するピーター卿の名推理と、思いがけない冒険の数々。活気に満ちた物語が展開する第二長編。