著者 : ナイオ・マーシュ
リボルバーは彼を狙って確かに発砲された。しかし、それは空包の筈だった……。夜間公演の余興を一転して惨劇に変えた恐るべき罠。誰が、何故、どのように仕組んだのか。夫婦揃って演奏会場を訪れていたロデリック・アレン主任警部が不可解な事件に挑む。シリーズ長編第十五作を初邦訳! 楽員に弔花を 訳者あとがき
ロデリック・アレン警部をフューチャーしたミステリーシリーズの第14作。前半はアレン警部の妻トロイの視点でアンクレトン館の様子と事件の推移が描かれる。トロイは、館主ヘンリー卿の肖像画を描くために、館に滞在しているが、その間にさまざまな悪ふざけが起こり、それは肖像画にも及ぶ。激怒したヘンリー卿は、いたずら好きの孫娘の仕業と思い込み、彼の遺言に重大な変化が起こる。ところが、その後、ヘンリー卿は自室で死体となって発見される。ヘンリー卿の愛猫が事件解決の重要な手がかりになっているところなど、小粒のネタをピリッと効かせていて小気味よい。ヘンリー卿の殺害を企てた犯人の計画には、運命にもてあそばれるような箇所がいくつもあるが、そういった趣向は、シェークスピアの悲劇によく見られるもので、本作は「現代を舞台にした、シェークスピアの悲劇」とも言えるかもしれない。マーシュのベストとの呼び声も高い傑作! 幕が下りて/訳者あとがき
シェイクスピアの〈マクベス〉上映中に起きる殺人事件。容疑者は関係者のみ。シリーズ探偵のアレン警部が不可解な謎に挑む! 闇が迫るーマクベス殺人事件 訳者あとがき 解説 横井司
死せる巨大魚(オールド・アン)は何を囁いた? 正義の天秤(スケール・オブ・ジャスティス)が傾き示す“裁かれし者”は誰なのか? 〈ロデリック・アレン警部〉シリーズの長編第18作にして、1955年度英国推理作家協会シルヴァー・ダガー賞作品。 オールド・アンの秘密 訳者あとがき 解説 横井司
物語は、今なお封建的な風習が色濃く残るイギリスの小さな田舎で発生します。准男爵の称号を持つハロルド卿が「ビック」という言葉を発しながら息を引き取ります。息を引き取る前にハロルド卿は自身の「告白」ともいうべき原稿をカータレット大佐に託し、公表するかどうかを委ねていました。しかし、その数日後、カータレット大佐も死体で発見されます。ボトム橋の近くの川に生息し、地元では“伝説の大物”と呼ばれれているマスは、釣り上げられた後、なぜ移動していたのか? ハロルド卿が発表しようとしていた原稿には何が書かれていのか? 事件を担当するロデリック・アレン警警部は散らばった証拠を拾い集め丹念に解きほぐし、真相にたどり着きます。随所に張り巡らせた伏線、意外性のある真犯人、供述から徐々に犯人を絞り込んでいく緊迫感、まさに英国黄金期の本格ミステリの面白さを堪能できる傑作。 裁きの鱗/訳者あとがき