著者 : ネイサン・イングランダー
地中のディナー地中のディナー
2014年、イスラエルのネゲブ砂漠。秘密軍事施設には“将軍”の命令により、ただ一人の囚人Zが長年監禁されており、一人だけの看守に見張られている。ユダヤ系アメリカ人の学生からイスラエルの諜報員になり、自国の権力者に監禁されるに至った囚人Zの数奇な人生とはー。Zの存在を隠したまま何年も意識不明でベッドに横たわる将軍の回想、パレスチナ難民の青年の受難、パリで恋に落ちたZとウェイトレスのかつての逃避行。幾つかの物語が循環しつつ重なり合い、悲哀、諦観、希望を繰り返しもたらす不条理なパレスチナ紛争と、それに翻弄されながら生きる人々の姿を描き上げる。『アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること』がフランク・オコナー国際短編賞受賞、ピュリッツァー賞最終候補となった著者による傑作長編!
アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ることアンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること
もしもまたホロコーストが起こったら、誰があなたを匿ってくれるでしょう?-無邪気なゲームがあらわにする、取り返しのつかない夫婦の亀裂(「アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること」)。ユダヤ人のヨルダン川西岸への入植の歴史を、子を奪いあう二人の母を軸にして、寓意あふれる短篇に仕立てあげた「姉妹の丘」。物語にはつねに背景がある、人生にはつねに背景があるー年若い息子に父が語る、悲劇を生きのびた男の非情な選択(「若い寡婦たちには果物をただで」)。コミカルな語り口にしのばせた倫理をめぐる深い問いかけ。ユダヤ人を描くことで人の普遍を描きだす、啓示のような八つの短篇小説。
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