著者 : ヒグチユウコ
絵草紙 波風露草玉手箱絵草紙 波風露草玉手箱
「うらしま」海に出たまま姿を消した兄を追って、不思議な甕のなかへと迷い込んだわたし。謎の女に導かれ、たどり着いた竜宮城で待っていたのはー。「蓬莱記」何処とも知れぬ、人里離れた竹林のなかの宮に棲む即氏。午は陰翳のはざまの径を逍遙し、夜になれば異形のものどもが次々と訪れてー。物語と絵で織りなす、魅惑の異世界へ。美しき魔物たちが誘う、二つの絵物語を収録。注目作家と人気画家が贈る、言葉と絵の玉手箱。
猫のエルは猫のエルは
「それでは第十二号議案、『猫君の暴虐に関しての対策案について』ですが、この件についてご意見のある方はおられますか」-諧話会議。はやく魔法がとけるといいですね。いつとけるかはわかりませんけれども。-猫とねずみのともぐらし。こんな眼で私を見るものはこの世にひとりしかいなかった。私方に二十二年間住まった錆猫、ココアである。-ココア。でもそれでいいのだいったん死んでこの世に帰還したエルは生きてるだけで儲けだからー猫のエルは。「私はできれば犬になりたい。犬になって元の家に戻りたいんです。可能でしょうか」-とりあえずこのままいこう。猫の眼で、世界はこんなふうに見えている。文章と絵で贈る、5つの猫の物語。
PREV1NEXT