著者 : フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス
幻想的な初恋小説、どたばたユーモア群像劇、彷徨える若い魂の成長物語…あなたの知らない意外な作品を一挙収録!書簡集や、『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』など四大長篇の読みどころ解説も。もっとドストエフスキーが好きになる一冊。
人々は彼を、愛情をこめて「白痴」と呼ぶ…。この最高の「恋愛小説」はペテルブルグへ向かう鉄道列車の中から始まる。スイスからロシアに帰る途中のムイシキン公爵と父親の莫大な遺産を相続したばかりのロゴージン。2人の青年が出会った絶世の美女、ナスターシャをめぐる熱き友情と闘い。
ペテルブルグの夜を舞台に、内気で空想家の青年と少女の出会いを描いた初期の傑作「白夜」。自殺を決意した男が夢から覚めた後、真理を発見し、自殺をとりやめるという幻想的な短篇「おかしな人間の夢」ほか、長篇では味わえない、“らしくない”ドストエフスキーに出会える珠玉の4作。
殺人を犯した者の詳細な運命がつづられる最終巻。ラスコーリニコフをはじめ、母、妹、友人、そして娼婦ソーニャなど、あらゆる「主人公たち」が渦巻きながら生き生きと歩き、涙し、愛を語る。ペテルブルグの暑い夏の狂気は、ここに終わりを告げる…。
目の前にとつぜん現れた愛する母と妹。ラスコーリニコフは再会の喜びを味わう余裕もなく、奈落の底に突きおとされる。おりしも、敏腕の予審判事ポルフィーリーのもとに出向くことになったラスコーリニコフは、そこで背筋の凍るような恐怖を味わわされる。すでに戦いは始まっていた。
11月初め。フョードル殺害犯として逮捕されたミーチャのまわりで、さまざまな人々が動きだす。アリョーシャと少年たちは病気の友だちを見舞い、イワンはスメルジャコフと会って事件の「真相」を究明しようとする。そして裁判で下された驚愕の判決。ロシアの民衆の真意とは何か。
「エピローグ」では、主人公たちのその後が描かれる。彼らそれぞれに、どんな未来が待ち受けているのか…。訳者・亀山郁夫が渾身の力で描いた「ドストエフスキーの生涯」と「解題」は、この至高の名作を味わうための傑出したすばらしいガイド=指針となるにちがいない。
ゾシマの死に呆然とするアリョーシャ。しかし長老の遺体には、信じられない異変が起こる。いっぽう、第2巻で「消えて」いたミーチャは、そのころ自分の恥辱をそそぐための金策に走り回っていた。そして、ついに恐れていた事態が。父フョードルが殺された!犯人は誰なのか。
ゾシマの言葉にしたがって、アリョーシャは父の家に出かける。父と長男ミーチャとの確執は、激しさを増していくようだ。イリューシャとの出会い、スネギリョフ大尉の家で目にしたものなど、アリョーシャの心はさまざまに揺れ動き、イワンの「大審問官」で究極の衝撃を受ける。
マイナスをすべて集めればプラスに転化しうるー思索に思索を重ねた末に辿りついた、後年のドストエフスキイの逆説の世界観がちりばめられた後期傑作8短篇。文庫本初収録。