著者 : フランソアーズ・サガン
水彩画のような血水彩画のような血
映画監督コンスタンチンは25年ぶりにハリウッドを去り祖国ドイツの依頼で、ナチ占領下のフランスにいる。長年の夢「パルムの僧院」を映画にするため、愛すべき妻ワンダと若者ロマーノをまじえスタッフと共に南仏プロヴァンスで撮影に熱中していた。楽天家の彼に、忘れていた遠い昔の両親と自殺した姉の過去が去来する…。コンスタンチンと妻とロマーノの「愛と自由」への道を描く長編。
ボルジア家の黄金の血ボルジア家の黄金の血
非業の最期をとげた若き枢機卿チェーザレにとって生きる意味は何だったのか。1492年、彼の父は法王に即位し、ボルジア家の人々は、若く美しく、情熱的であり、その無邪気な残虐行為と途方もない野心は、体内を流れる熱い血への服従であった。ボルジア一族の愛欲と野望と権謀術数を背景に、イタリア王たる夢を抱く野心家チェーザレと彼の妹ルクレツィアとの背徳の「愛と死」を描く。
愛の中のひとり愛の中のひとり
30歳の公証人ローモンは、ひそかに若き美貌の未亡人フローラに恋をしている。しかし、彼女は小作人の息子で文学青年のジルダスに夢中だ。彼は、男たちを魅了している小悪魔的な小間使いのマルトと愛しあっている。そしてマルトの真実の告白が愛の悲劇を招く…。七月王政下の1930年代、フランスの牧歌的なアキテーヌ地方を舞台に、愛に生き愛に死んだ人間模様を描く長編恋物語。
赤いワインに涙が…赤いワインに涙が…
それはただ単に、交通渋滞のための遅刻だったが…。恋人を待つ1時間に人妻の心に去来した不信が招く愛の終り。夏の昼下り、夫の浮気を目撃しショックを受けた若妻は、ニースのカジノで幸運を8に賭けた…。いつしかなれあいになった夫婦関係で、離婚を決意する夫の心情。若者の残酷な愛のエゴとジェラシーなど男と女の微妙な恋愛模様を背景に、愛の皮肉と優しさを描く短編集。
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