著者 : ブルース・スターリング
人生に倦み、最高の刺激を求めていたジョン・ニューハウスは、塵に覆われた異星の海に棲む“塵クジラ”から採取される麻薬“フレア”を探す旅に出た。コックとして乗りこんだ塵クジラ漁船で、翼を持ち、優雅に空を翔ける異星人女性ダルーサと出会ったジョン。漁船で厳しい生活をともにするうちに、激しく惹かれ合っていくふたりだったが…。若き日のスターリングが華麗に描き上げた、ロマンティックな冒険ファンタジイ。
時は21世紀。地球はひとつの巨大な“ネット”に包みこまれていた。情報化と核兵器廃絶で力を失った国家にかわり、ネット上で活躍する多彩な多国籍企業が地球を動かしているのだ。そのひとつ《ライゾーム》社の呼びかけに応え、第三世界のデータ海賊の大物たちが、社のゲストハウスに集結してきた。違法なデータ盗用と無意味な武力抗争に終止符を打つのが《ライゾーム》社のもくろみだったー。だが交渉開始の矢先、会談の責任者ローラの目前で悲劇が起こった…。気鋭作家が近未来情報化社会をリアリスティックに描いたSF問題作、ついに登場。キャンベル記念賞受賞。
会談は決裂したー第三世界のデータ海賊のひとりが、正体不明の無人機械に殺されたのだ。疑心暗鬼におちいり、復讐にのりだすデータ海賊たち。だが情報社会に暴力が無意味であることを確信するローラは、彼らを再度交渉のテーブルにつかせるため、単身旅立つことを決意する。グレナダ…シンガポール…権力と軍、秘密警察が一体となってデータ海賊行為をはたらく国々。そこでローラを待ちうけていたのは、想像を絶する悪夢だった。90年代SFを担うスターリングが果敢に新機軸を切りひらき、キャンベル記念賞受賞に輝いた話題の傑作長篇。
寒冷や酷暑、真空、低重力、容赦なくふりそそぐ宇宙線…。苛酷きわまりない大宇宙に生きるため、人類はおのれの肉体そのものを改造しはじめた。ある者は遺伝子工学を駆使して肉体そのものを改変し、ある者は肉体とハイテクの融合に未来を見出した。やがてそれが〈工作者〉〈機械主義者〉という二大勢力となり、他の党派をもまきこむ抗争をくりひろげるが、遥かに進歩した異星人〈投資者〉も、太陽系への進出を画策していた…。サイバーパンク派の旗手の未来史SFを日本で独自に結集した、ファン待望の傑作短篇集登場。
すべては1984年に始まった。ウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』が発表され、英米SF界に〈サイバーパンク〉の嵐が吹き荒れはじめたのだ。テクノロジーとメディアの驚異的な発展が、人間そのものを変化させてゆくという認識のもと、才能ある若手作家たちがぞくぞくとサイバーパンク運動へと参加してゆく。運動の輪はSF界以外にも広がり、今もなおホットな議論をまきおこしている。そして今、現在進行形のこのSF革命の最前線から、1冊のレポートが届けられた。ギブスン、スターリング、ベア、ラッカーらの傑作を結集したサイバーパンク・ショーケース登場。