著者 : ホルヘ・ルイス・ボルヘス
イスラム教の加入儀礼の最中に宗派の指導者が殺され、容疑をかけられた新聞記者。急行列車内で起きたダイヤ窃盗と殺人事件に巻き込まれた舞台俳優。雲南の至聖所から盗まれた宝石を追ってブエノスアイレスへやって来た中国人魔術師の探索行…。身に覚えのない殺人の罪で投獄された元理髪店主イシドロ・パロディが、面会人が持ち込む数々の難事件を解き明かす。ボルヘスとその盟友ビオイ=カサーレスによる奇想と逆説に満ちた探偵小説連作集。“2001本格ミステリ・ベスト10”第1位。
死の宣告、魔法による創造、死者と生者の邂逅、予測しえない悲劇、夢の中の処刑、王の約束、不滅の種族…古代ローマ、中国、インドの故事や、千夜一夜物語、カフカ、ポオなど、古今東西の書物から選びぬかれた92の短くて途方もない話。
『伝奇集』や『幻獣辞典』で有名な二十世紀ラテンアメリカ文学の巨匠ボルヘスをはじめ、コルタサル、パスなど、錚々たる作家たちが贈る恐ろしい十五の短篇小説集。ラテンアメリカ特有の「幻想小説」を底流に、怪奇、魔術、宗教、伝承、驚異などの強烈なテーマがそれぞれ色濃く滲むユニークな作品集。『百年の孤独』を訳した鼓直が精選し、独自に編集したオリジナル文庫。
『伝奇集』はアルゼンチンが生んだラテン・アメリカ文学の旗手、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの代表作である。不思議な『百科事典』をめぐる奇譚「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」、夢の世界の〈秘儀〉を描いた「円環の廃墟」、永遠なる図書館の神秘を語った「バベルの図書館」、占星術や“無限のくじ引き”の歴史を考察する「バビロンのくじ」他、全17篇を収録。伝説、神話、博物誌等、虚実織り混ぜた、さまざまな書物に対する限りない偏愛に満ちた作品集。
『砂の本』は1975年に刊行された、ボルヘスの4冊目の小説集である。収められた13の作品は、一口に短篇小説というものの、そのなかでも長短さまざまあり、いずれの場合にも、ホルヘ・ルイス・ボルヘスならではといった刻印が、あざやかに読みとれる。