著者 : マイケル・バー・ゾウハー
ホテルで目覚めたアメリカの実業家ルドルフ・ブレイヴァマンは、不可解な思いにとらわれた。昨日はロンドンのホテルで寝たはずだが、ベルリンにいるのだ。間もなく彼は、62年前に仲間とともに五人の元SS将校を殺した罪で逮捕され、彼の息子ギデオンが一連の奇怪な事件の調査を開始する。父親の親友などの協力を得て、やがて暴き出す驚くべき国際的陰謀とは?巨匠が実力を遺憾なく発揮した待望の新作エスピオナージュ。
ソ連に吹き荒れたユダヤ人迫害の嵐のなか、一人の女性詩人が処刑された。彼女は二人の子供を残した。最初の夫である詩人との間に生まれたアレクサンドル。そして二度目の夫のKGB大佐を父とするジミトリー。だが、兄弟の運命は大きく分かれてしまった。アレクサンドルはアメリカの伯母のもとへ。ジミトリーは孤児院へ。東西に引き裂かれて闘うことになる宿命の兄弟を、息もつがせぬ展開と壮大なスケールで描く傑作巨篇。
アメリカで育ったアレクサンドルはアレックスと呼ばれ、ソ連の研究家になった。一方、ジミトリーはKGBに入り、次第に頭角を現わしていく。しかしパリでめぐりあった二人は、同じ女性を愛したためにお互い激しい増悪に身を焼くことになった。アレックスはCIAに加わり、丁々発止の諜報戦の中で弟との死闘を繰り広げる。そして波瀾万丈の物語は驚愕のクライマックスへ…。巨匠バー=ゾウハーの集大成というべき雄篇。
第一次大戦さなかの1917年、イギリスのスパイをしていた美貌のユダヤ系アメリカ人ルース・メンデルソンは、家族とともにトルコ軍に逮捕されてしまった。しかも、イギリスのエルサレム進攻作戦をスパイしろと命じられる。拒否すれば、父の命はない。ルースは、イギリス軍が駐屯するカイロに潜入するが…アラビアのロレンスなど実在の人物をたくみに織りこみ、非情な運命の渦にまきこまれたスパイの姿を描くサスペンス。
ヴェトナム戦争の戦死者で、いまだ身元が確定できない一人の兵士。その彼が無名戦士に認定され、ヴェトナム戦争の戦没者の象徴として、アーリントン国立墓地に祀られることになった。そんな折り当の遺体を調査中だった国防総省の高官メレディスは、奇怪な事実に愕然としていた。遺体に残された弾丸と手榴弾の破片が、米軍のものだと判明したのだ。彼は味方に殺されたのか?だとすれば、その理由は?メレディスは独自に調査を進める。だが、手がかりとなる人物に黒い圧力がかかっていた…。情感豊かに絶妙のプロットで描く名手屈指の傑作。